台風10号接近 宮島、消えた観光客 フェリー終日運休、静まりかえる観光の島 広島県廿日市市
年間450万人が訪れる広島県廿日市市の宮島から、観光客の姿が消えた。台風10号の接近に伴い、宮島と宮島口を結ぶフェリー2社は30日、終日運休を決め、行き来できない状態が続いた。島内で宿泊キャンセルも相次ぎ、いつもはにぎわう厳島神社や表参道商店街は閑散とした。 【写真】台風接近で閑散とした宮島(計3枚) 朱の大鳥居を望む神社の参道。断続的な雨で砂地がぬかるむ。連日、人だかりができる記念撮影スポットも、静まりかえっていた。参道へと続く商店街は軒並みシャッターが降り、「台風接近のため臨時休業」などと書かれた張り紙が掲示されていた。 台風10号は進行が遅く、宮島へ渡るフェリーは29日夕から欠航。8月最後の週末のかき入れ時に影響が長引き、旅館やゲストハウスなど宿泊施設には大きな痛手だ。 この夏、部屋の稼働率が80%台後半で推移していた錦水館では、運営する旅館とホテルで27~31日、70件を超えるキャンセルがあった。29、30日の宿泊はゼロ。志熊聡総支配人(61)は「売り上げを考えると痛いが、自然災害なので、お客様とスタッフの安心安全を考えると仕方がない。台風が過ぎて安心して来てもらえる時に、宮島の魅力を存分に味わってもらいたい」と話す。 新型コロナウイルス禍を経て来島者数はV字回復していた。島内で店を経営する50代女性は「台風の進路が読めないもんね…。ずっと忙しかったので休養と思いながら警戒を続けたい」と前向きに話した。
中国新聞社