1974年式アルファロメオ・スパイダー「エンジンのクセが強くて涙目…でも風景が特別になる」建築家・廣部剛司の愛車
最初はクセが強すぎるエンジンに涙目。やがて仕事を呼び込む幸運の車に
「実は、一度も試乗しないでスパイダーを買ったんですよね。だから、店から走り出して20分で、キャンセルしたくなりました。なぜって、全く上手に運転できなかったからです(笑)」。 スパイダーのような旧車のエンジンは独特でクセが強く、シフトやアクセルのタイミングを誤るとボディが大きく揺れることもあります。買ったその日は夕方までずっと運転の練習をすることに。さらに毎週のように箱根に通ってスムーズに運転できるように訓練を重ねたそう。 「“運転している感”が強いところも、この車の魅力なんですよね。挙動がダイレクトだから、その様子を見つつ、積極的にドライバーが運転に関わっていく。そこがいいなあ、と」。
たどり着くまでの景色をスペシャルなものに変える
「たとえ、いつも訪れる場所だとしても、たどり着くまでの風景が特別なものに感じられる、そこがスパイダーの魅力的なところだといえるのかもしれませんね。オープンカーのスパイダーは空とつながっていて、風景がまるで違って見えます。感覚が研ぎ澄まされるというか…。家の近所を走るのでも楽しいものです。 でも、夏場の昼間は乗ってはいけません…。一度、夏に軽井沢に行こうとしたのですが、少し出遅れたせいで、環八の大渋滞にハマってしまって…。周囲の車がエアコンをかけているせいで路面温度がすごく高くなっているのに、この車にはエアコンがついていないし、幌をつけても暑さは防げないし。熱中症になってしまいました」 独立したてだった頃の廣部さんは、アルファロメオ仲間のつながりで住宅設計の仕事を立て続けに受注しました。その後も、スパイダーに乗っていることがきっかけに、仕事の話が来ることがあるそう。スパイダーは廣部さんにさまざまな出会いをもたらしています。 「もう30年近く…。ここまでくると最後まで連れ添いたいなあ」。廣部さんとスパイダーの間には深い絆が育まれています。
シトロエン C3の小粋なデザインにひとめぼれ!長距離移動に最適
廣部さんが普段の移動に活用しているのが、フランス車のシトロエン C3。コンパクトでも高速安定性が高くて、長距離の移動に適しているといわれています。 「このC3に関しては、デザインにやられた、というのが大きいですね。広告でこの赤白カラーのC3を見てからは、他の車に食指が動かなくなってしまいました。室内空間もコンパクトカーにしては余裕があり、内装のセンスもいい。 実際乗ってみると、小排気量のターボエンジンは想像より小気味よくまわって、案外速い!そして、やはりシート(椅子)がいいんです。軽井沢の現場に通うときなど、長距離の移動でも疲れにくい。フトコロの大きい車だと思います」