独身で養子を迎えた韓国人の彼女が「親には言わなかった」ワケ、韓国で独身者が養子を迎えるのに必要なこと
数カ月にわたる書類審査と心理検査、家族面談、そして養親になるための研修を経て、わたしはついに長女を引き取ることができた。その後も、子どもの状態や家庭環境をチェックするために養子縁組機関の職員が何度も家にやってきた。そのたびにバタバタと家を片づけることになり、かなり緊張もしたけれど、養子の子どもが引き続き見守られているということに心強さを感じた。 ■子どもたちの「生みの親」 韓国において独身者が養子縁組できるようになったことを、わたしは2008年頃にネットで知った。韓国の保健福祉部は国内養子縁組を活性化させるために、2006年末に養親の資格条件から〝婚姻中であること〞という内容を削除した。
現行の「養子縁組特例法」施行規則には、養親の年齢について「25歳以上で、養子となる者との年齢差が60歳以内であること」という規定があるだけで、独身者に関する規定はない。ただし養子縁組機関のホームページには、養親が独身者の場合は「35歳以上で、養子縁組対象児との年齢差が50歳以下であれば、養子縁組が可能」と記載されている。 「養子縁組特例法」には「養親となる者は、一定の経済的水準、児童の福利に反しない職業を持ち、犯罪歴および薬物依存症の既往歴がないことなどの要件に符合しなければならず、家庭裁判所は養親となる人の養子縁組の動機と養育能力、その他の事情を総合的に考慮して養子縁組の可否を決める」という規定もある。養子縁組機関の社会福祉士は、「独身者が養子縁組を希望するときは、夫婦の場合より厳格に審査をする」と言っていた。
養子縁組機関は、娘たちの実親に「非婚者が養親になってもいいかどうか」を確認した。生みの父母がこれに同意したので、わたしは2人を養子に迎えることができた。 彼らはどうして非婚者が養親になることに同意してくれたのだろう? たとえひとり親家庭に偏見がないとしても、わざわざ非婚の養親希望者を好む理由はない。むしろ、未婚のまま出産した母親が「自分ひとりで育てるよりも両親がそろった家庭のほうが子どものためになる」と考えて、わが子を養子に出すことのほうが多いはずだ。