「10年で国内ナンバーワンに」 三井住友FGの中島社長が語る変革の勝算
非金融分野でも課題解決
20年4月、太田(純・前社長)さんと議論してグループの10年後のビジョンを策定した。それが「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」だ。 「グローバル」には、世界的に認められて活躍できる、世界のマーケットで存在感のあるプレーヤーになりたいという思いを込めた。ここから、普通は「グローバルな銀行を目指す」と打ち出すところだが、社会や顧客の課題を解決するため、非金融の分野でも可能な限り活動し、最適なソリューションを提供することにフォーカスしようと決め、「ソリューションプロバイダー」という言葉を選んだ。 数年後にはビジョン自体を見直すことになるが、現時点でこの方向性は正しかったと感じている。金融だけではなく、顧客の視点に立って幅広に構えて取り組んでいく姿勢を大事にしたい。 私利私欲に走らず、顧客や社会の幸せを願う「三方良し」の精神を大事にする。経営者として、そう胸に刻んでいる。 太田さんは「着眼大局、着手小局」を実践した経営者だった。物事を高い視座、あるいは遠い将来から見る。いったん決断したら細かく、頑固に取り組む。最高戦略責任者(CSO)として近くで働いて、とても面白かった。 顧客との酒席で、私を「こいつは俺と同じ匂いがする」と紹介してくれたのを覚えている。企業は成長させる必要があり、そのために新しいことに挑戦するという発想が似ていたのだろうか。 太田さんとは違う私のカラーは、これから自然と意識せずに出てくると思う。(談)
鳴海 崇