元陸上自衛官夫婦が過疎化進む集落に古民家カフェ…地元住民「息子家族が帰ってきたような感じ」
元陸上自衛官の夫婦が家族4人で赴任中に魅了された長崎県対馬市厳原町内に移住し、久和地区で古民家カフェを開いた。同地区は過疎化が進む集落で、地元住民からは「息子家族が帰ってきたような感じ。子どもの声も聞こえていい」と歓迎されている。(島居義人) 【写真】盆栽を眺めながらコーヒーやお酒を楽しめる盆栽アトリエ
築約150年の古民家の玄関には「つしま焙煎所」と書かれた看板が置かれ、オーナーの岩間雄平さん(34)と妻・春奈さん(39)が笑顔で迎えてくれる。
雄平さんは福島県いわき市出身。地元の高校を卒業後、陸上自衛隊に入った。岩手県矢巾町出身の春奈さんも高校から陸自に進み、2人は宮城県内で勤務。別々の駐屯地だったが、隊員仲間を通して知り合った。
春奈さんは約10年間の勤務で退職後、子どもの頃から好きだった絵関係の仕事に転職。その後に再会した雄平さんと結婚し、子ども2人を授かった。子どもを離島でのびのびと育てたいと考えた2人は2021年3月、対馬駐屯地を希望して家族4人で赴任した。
雄平さんは元々、退職後に古民家カフェを営みたいとの思いがあった。しばらくして久和地区で空き家となっていた古民家を見つけて「ここだ。今しかない。これを逃したらもうない」と、雄平さんの心を揺さぶった。同地区は島の中心地、厳原から南部へ車で30分ほど離れた所にあり、田んぼや川、海もあるのどかな集落。春奈さんも空き家を見学して賛同。「空き家はすぐにも住める状態だった。接してくれる地元の人も優しく、思いやりを感じた。安心して子育てもできると思った」と当時を振り返る。
雄平さんは昨年9月、自衛官を退職し、今年2月に店をオープンした。座敷と廊下にテーブルを置き、地元の食材を生かしたランチも提供している。
早く地域に根付きたいと意欲的な2人は「多くの人に静かな所でコーヒーの香りや味わいを楽しんでほしい。実家に帰った気分でゆっくりくつろいでもらいたい」と来店を呼びかけている。
店休日は水曜日と第1日曜日。問い合わせは同焙煎所(080・7859・2251)へ。