【竜王戦】藤井聡太竜王に完敗の佐々木勇気八段「作戦の精度を上げる」和歌山“ほろ苦デビュー”
藤井聡太竜王(名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)に佐々木勇気八段(30)の挑戦を受ける、将棋の第37期竜王戦7番勝負第5局が28日、和歌山市「和歌山城ホール」で行われた。27日午前9時からの2日制で始まった対局は、28日先手の藤井が勝ち、対戦成績を3勝2敗として、防衛と4連覇まであと1勝とした。第5局は12月11、12日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」で行われる。 初見参の和歌山で、佐々木は「ほろ苦デビュー」となった。「後手番でおそらく初めてだと思う」という雁木(がんぎ)を採用。振り飛車もにおわせた。前例のない形に誘導したが、「金をギリギリまで動かさない」というプランと、実戦の形にズレがあった。 初日の封じ手後、「どこかで細かいミスがあるのでしょうが、一晩考えても分からなかった」と振り返る。午後4時半前という早い投了に、「指し慣れていないのと、これが自分の実力。勝負どころがもっと早くにあったので、時間を投入して考えるべきだった。藤井竜王にうまく指されて完敗」と潔く敗戦を認めた。 ここまで先手がすべて白星を挙げている。順番から行けば、次は佐々木が勝つ番だ。2年前の竜王戦第6局では大盤解説として指宿を訪れ、砂蒸し風呂などを楽しんだ。今期の挑戦権を得て、行けることを楽しみにしていた。「作戦の精度を上げなければ。切り替えて次、頑張りたいと思います」。3勝3敗に追いついて最終第7局(12月18、19日、甲府市「常磐ホテル」)に望みをつなぎたい。