12球団Jr.最優秀小学生が「チーム無所属」のワケ 料理人父と磨いた“本気の二刀流”
ついに見つけた居心地の良いチーム「みんながよくしてくれて楽しかった」
智成さん自身は、本格的に野球に取り組んだ経験のない“素人”だったが、独学でトレーニング方法、体の動かし方、ケア術、栄養学などを勉強し、平井くんをサポートしている。動画サイトを教材にして、専門家にダイレクトメッセージで質問をぶつけることもある。 こうして、本気で子どもと一緒に取り組むのが智成さんのスタイル。平井くんの5歳上の兄が、東大合格者ランキングトップの常連校である兵庫・灘高校の受験を志した際には、智成さんも睡眠時間を削って一緒に受験勉強に取り組み、わからないところがあると中学生、小学生レベルまで戻って勉強し直して、合格までサポートしたという。 智成さんは、平井くんのチーム選びにも積極的に関わってきた。真夏の試合で酷使されて体調を崩したことなどから、智成さんの判断で退団させたケースもあるという。智成さんは「いろいろありましたが、本人は最近では『いろいろなチームで、いろいろな人と野球をやれて勉強になった』と言っています」と前向きにとらえている。 そんな平井くんにとって、今年8月末に結成されたソフトバンクジュニアは、レベル的にも、雰囲気的にも、一番居心地が良かったようだ。「みんなのレベルが高くて、みんながよくしてくれて、楽しかったです。みんな元気がよくて、盛り上げてくれました」とうなずく。ちなみに、チーム内での呼び名は“秀ちゃん”だという。 智成さんも「ソフトバンクジュニアの子どもたちは、技術レベルが高いのはもちろんですが、みんな謙虚で向上心が高いです」と評し、「私が練習を見学していると、他の選手から『どうして秀虎くんの打球はあんなに飛ぶのですか?』と聞かれることもあります」と語る。 平井くんは2025年、中学進学とともに硬式野球チームに入団する予定。自分に合った場所で、類まれな潜在能力を存分に伸ばしてほしいものだ。もちろん、平井くんが父親と二人三脚で築いてきた自分の“幹”の部分を忘れることは、生涯ないだろう。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki