性的被害を受けた米国女性たちが声を挙げる #MeToo はなぜ巨大化したのか
初雪のニューヨークで開催された#MeToo集会
テレビやインターネットだけでなく、このムーブメントを肌で確かめようと、ニューヨークで12月9日土曜日の午後におこなわれた集会に行ってみました。時おり横なぐりにもなる初雪のなか、「トランプインターナショナル・ホテル&タワーズ」の前で、参加者たちがシュプレヒコールをあげています。 集会を組織したのは、Annamarie Haubert(24 )さんとConnie Vasquez (57)さん。ふたりとも性暴力のサバイバーです。年齢も職業も受けた被害そのものも全く異なるふたりが#MeTooを通して知り合い、主にFacebookとTwitter経由で、気の遠くなるような労力と時間をかけ実現させました。実際に顔を合わせたのは集会のわずか数日前、ニューヨークのフリーペーパー「am New York」のインタビューだったといいます。Vasquezさんは集会について、「被害者だけの集まりにしたくない。集った人たちの数に、このムーブメントへの力とサポートを見出してほしいのです。私たちは生き残りました。これは癒しの機会です」と語ります。 あいにくの天候のせいか、集まったのは100人以下でした。同日夕方のNewsdayの記事では「several dozen」との表現があったので、あるいはもっと少なかったかもしれません。それでもプラカードや横断幕には「WE DO NOT CONSENT(私たちは同意しない)」「BELIEVE WOMEN(女性を信じよ)」「no more(ノーモア)」「 break the chains(鎖を断ち切れ)」といった力強いメッセージがあふれていました。
ラリーに参加した日本人女性
そこに「CREATE a world without rape!」のスティッカーを腕に貼り、ガッツポーズをとっている日本人女性がいました。ニューヨークでファイヤーダンスのパフォーマンスなどをしているアーティストの里内正恵さんです。これまでも日米を行き来しながら、美容師としての実績やカラーコンシェルジュとしての知識を用いた女性のエンパワメント講座やパフォーマンスで、日本人女性の美と意識の解放を支援する活動を精力的に行ってきたそうです。 実は里内さんも性暴力のサバイバー。これまでの活動では特にそのことを公表していませんでしたが、#MeTooムーブメントが始まった時に、友人がFacebook上でみずからの被害体験を告白したことに勇気づけられ、自分の体験もFacebook上に公開。たちまち500以上の反応があったのだそうです。「決して(被害にあった)あなたが悪いと思ってはいけない」 ── 日本で性暴力を受けた過去に、誰もかけてくれることのなかった言葉……。 「こうなったのには自分にも非があると思っていたし、そう言われるのが怖くて警察にも届けませんでした」と里内さん。「雪が降っているし、明日誕生日だし、集会とか性に合わないし」と最後まで迷いながらも、このムーブメントに当事者としてできるかたちで関わりたい、という気持ちに背中を押され、集会にも参加しました。また、胸の内に閉ざしてきたものをはき出す作業は癒しになるとも。主催者Vasquezさんの願いと重なる言葉です。