老いることに、恐怖心はないーーとことんポジティブ、蛯原友里が愛され続ける理由
ブームの最盛期には、エビちゃんが身に着けるものすべてが瞬く間に売り切れ、問い合わせも殺到した。 「ただ好きで続けてきたモデルという仕事が、そこまで世の中に影響を与えるとは思っていなかったので、驚きましたよね。ただ、エビちゃんOLという言葉は、客観的に見ていました。自分ではない感じ。ロケバスの中から外を見ると、自分が雑誌でしたようなスタイルで歩いている人がいて、『エビちゃんぽいな~』とかって眺めていましたね」 では、雑誌の専属モデルから卒業するときはどうだったろう。若い世代のモデルが続々と登場するなか、一つの時代を終えることに、不安や寂しさを感じることはなかったか。 「そうですね、それまでのエビちゃん的なものから、求められるものが変わっていったので、その環境になじむまでには少し時間がかかったところもありました。表情だけではどうにもならないし、洋服も違いますから。でも、時間が経つにつれて、自分のものになった、という感じです。一つの雑誌を卒業するときには寂しさもあるんですけど、どの仕事でも『いつやめても後悔はない』というくらい頑張ったという自負があるので。次のステージに進むときは、新しい扉をパーッと開くような感じで、『どんなことが待っているんだろう』という気持ちのほうが、いつも強いんですよね」
なるほど、この人に「挫折」はないのだ。いや別の見方をすればそれに近いことはあるのかもしれない。しかしこの人は、それを挫折だと捉えてこなかったのだろう。 エビちゃんと15年以上の付き合いになる関係者は、苦笑しながらこう語った。 「彼女は、昔からずっとこうなんですよ。天性の忘却力というか(笑)。覚えていない、引きずらない、流されない。でも、ちゃんと自分のやりたいことがある。本当は、人並みに苦労もしているんだと思うんですけど、マイナスに考えることがないんです。むき出しの無垢という感じ。子どもの無邪気さをいまだにきちんと持っている人ですね」