初回から衝撃展開…反町隆史の怪演に度肝を抜かれたワケ。『オクラ~迷宮入り事件捜査~』第1話考察レビュー
火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)が放送開始した。反町隆史演じる人情味のある“昭和刑事”と、杉野遥亮演じるクールな“令和刑事”が風化寸前の事件を追うヒューマンミステリーエンターテインメント。今回は、第1話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】反町隆史&杉野遥亮がカッコよすぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』劇中カット一覧
クセもの揃いの“オクラ”
日本でも決して少なくはない“未解決事件”の存在。あのときこうするべきだった。あのときもう少し踏み込んでいれば。そんな刑事たちの後悔とともに、迷宮入り事件のデータは“オクラ”に眠っている──。 火曜ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』が、10月8日にスタート。人情味のある“昭和刑事”とクールな“令和刑事”が、風化間際の事件を追っていくヒューマンミステリーエンターテインメントだ。 警視庁には、未解決事件を扱う特命対策室とは別にもう1つ部署が設けられていた。それが、捜査一課特命捜査情報管理室、通称“オクラ”である。オクラの仕事は、過去の未解決事件の資料データ入力が主。一応捜査権はあるものの、彼らが取り組むのはほとんど解決見込みのない“お蔵入り”事件ばかりだった。 別名「刑事の墓場」と呼ばれる窓際部署・オクラには、言わずもがなユニークな面々が集まっている。ギャンブルで身を滅ぼした所長・幾多学(橋本じゅん)に、3分しか役に立たない鷲沢泰造(宇梶剛士)、定時に帰りたがる牧原祈里(青木さやか)、ハッキングの犯罪に手を染めた吉岡雷(前田旺志郎)、元ヤンの結城倫子(白石麻衣)、そしてある事件をきっかけにオクラ落ちした飛鷹千寿(反町隆史)。実にクセ者揃いだ。 そんなオクラに令和の若者像を具現化したような青年刑事・不破利己(杉野遥亮)が配属されたことで、物語が動き出していく。
昭和刑事と令和刑事の凸凹バディ
第1話でフォーカスされたのは、12年前に起きた女子小学生殺人事件だ。 容疑者本人からの一通のメールにより、オクラ内は異様な空気に包まれる。当時、捜査員の誰もが容疑者をクロだと睨んでいた。しかし、逮捕できる決定的な証拠がなかったため、お蔵入りに。さっそくオクラのメンバーたちが捜査に向かうのだが、まずはその個性の強さに驚かされる。 飛鷹は時代遅れといわれる熱血刑事。遺体発見現場の北城山に行くと言いつつ、外出早々に喫茶店でパフェを食べている。と思いきや、強行犯係のエース時代を彷彿とさせる洞察力と行動力で、捜査をぐいぐいと進めていく敏腕っぷり。 飛鷹を演じる反町は、『相棒』(テレビ朝日系)で7年間刑事役を務めてきた、いわば“刑事役のベテラン”だ。おちゃめさや荒々しさを持ち合わせるふり幅の大きい役柄でもあるが、『相棒』で培ったものを余すことなく発揮した円熟味ある演技に引き込まれる。とくに容疑者に自白を強要するシーンは、生唾を飲み込んでしまうほどの気迫だった。 一方、不破は冷静かつタイパ思考。娘を殺された母親に対し、「後悔しても生き返るわけじゃない、私にはお子さんの死を免罪符にして甘えているようにしか見えません」と放つ冷酷な一面も。この発言について倫子に叱責されても、「同情なんて捜査に邪魔なだけです」と嫌にドライだ。 不破を演じる杉野といえば、『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール』(2021、日本テレビ系)の黒川や『僕の姉ちゃん』(2021、テレ東系)の順平のような真っ直ぐな役柄のイメージが強いが、本作では雰囲気をガラッと変えた落ち着きと重みのある芝居で不破を表現。初めての刑事役ながらも、安定感が抜群だ。 2人が顔を合わせれば、正反対の性格やジェネレーションギャップにより絶妙に馬が合わない。でも、だからこそ飛鷹のサボりを不破が上司に告げ口するような、シュールで思わずクスッと笑える場面が生まれたりもする。一見バラバラに見えても、実は根っこに共通意識を持っている凸凹バディ。彼らがどんな化学反応を起こしていくのか、今後が楽しみで仕方がない。