“挑発、煽り”を禁止した阪神の私設応援団「熱い応援と過激な応援は違う」
居酒屋で中継を見ていたファンたちが意気投合
築地猛虎会は2004年4月に結成されたのだが、当時のいきさつについて、石川さんはこう振り返る。 「銀座にタイガース戦の中継を流している居酒屋があったんです。私は広告代理店に勤めていたのですが、そこに商社や銀行、建築、個人事業主など、さまざまな職種のタイガースファンの方々が来ていて、みんなで一緒にテレビを見ながらタイガースを応援していたんです。そうしたらある日、『このメンバーで球場に応援に行きたいね』という声が上がって、実際に球場に行き外野席で応援するようになった、というのがこの会の始まりです」
結成当初は10人ほどだったが、現在は50人まで拡大
結成当初は10人くらいの集まりだったのだが、少しずつ参加者が増えて、現在は東京で40人、大阪で10人の、合わせて50人くらいのメンバーがいる。 「メンバーの年齢層はアラフィフが中心で、若い人でも40代のミドル層で、70代になっている人もいます。男女比で言うと、8:2くらいで男性が多いですね」(中松礼子さん) 阪神を応援していることを家族はどう思っているのか。石川さんに訊ねると、こんな答えが返ってきた。 「実は若い頃からタイガースを応援していたのですが、家族には内緒にしました。タイガースを応援するときのタオルやTシャツなどは自分で洗濯して乾かしてということをしていたんです。ところが2005年にタイガースが優勝した直後、家族にそのことがバレてしまったんです。そこで『実は……』とすべてを話して、タイガースファンであることを告げたんです。それからは家族了解のもとで応援をし続けるようになりました」
仕事場なのに「思わずバンザイしてしまった」
仕事でもこんなことがあった。 「当時、私は神宮球場にバックスクリーンの電光掲示板に映る広告チェックの仕事で行っていたんです。球速表示が出たときにメーカーの名前が出るのですが、それがきちんと表示されているかをバックネット裏の席で1球ごとにチェックしていました。ところが、ヤクルト対阪神戦でタイガースが得点をしたときに、思わず席から立ちあがってバンザイをしてしまった。 その姿を神宮球場の当時の場長が目撃してしまって、私の会社の当時の上司のところに、『阪神が得点をした瞬間、バンザイして立ち上がっていた者がいたんだけれども、あなたの部下じゃないのか?』と電話があったというのです。私も上司にヒアリングされて『私でした』と告白したのですが、その場で注意はされたものの、それ以降はバンザイすることは禁止となってしまいました」 と石川さんは当時を懐かしむように話す。