ティファニーとシティホテルで15万円!令和の若者が驚愕する「昭和のクリスマスデート」
● おじさんが若者に「クリスマスの過ごし方」を 聞いてしまう理由 テレビドラマや雑誌に出てくるような豪華でオシャレなデートではなくても、「恋人とクリスマスを一緒に過ごす」というのは、とても大事なこととされていました。 実際は一緒に過ごす恋人がいない若者のほうが多かったので、同じ境遇のもの同士が何人か集まって、誰かの部屋でクリスマスパーティをやったりしたものです。それはそれで楽しい夜でした。 相手がいたにせよいなかったにせよ、野望が実ったにせよ挫折を繰り返したにせよ、昭和人間の記憶の中には「クリスマスの甘酸っぱい思い出」がたっぷり刻まれています。今思えば、なんでそんなに一生懸命だったのかと我ながら苦笑させられますが、クリスマスという輝く星を追いかけて全力で右往左往したことに、決して後悔はありません。 そんなこともあって、昭和人間は今でも「若者にとってクリスマスは特別な日のはず」と思い続けています。若者の皆さんに対して、50代60代の上司が「クリスマスは何か予定があるの?」と聞いてきたり、12月24日の夜に残業していると「今日はイブなんだから、仕事なんてしなくていいよ」と言ってきたりすることがあるかもしれません。 言われる側にとってはさぞうっとうしいでしょう。しかし、昭和人間はかつてクリスマスにピュアな憧れを抱き、クリスマスを特別視し続けてきました。昭和人間のクリスマスに対する思いに違和感を感じたときには、若かりし頃の呪縛から抜け出せていないんだな……とあたたかい目で見つつ、聞き流してもらえたら幸いです。
● 年齢を重ねた今こそ あの頃の真っすぐな情熱を思い出したい! 昭和人間自身は、かつてのクリスマスの記憶をどう生かせばいいのか。気合いが空回りした記憶しかなくても、かつての自分の情熱を否定する必要はまったくありません。 ビルの入口に飾られたクリスマスツリーを見て、「ああ、もうすぐクリスマスか」と思ったら、ついでに「自分もあの頃は、それなりにがんばったなあ」と感慨に浸りましょう。貴重な過去の思い出を何度も反芻して楽しむのは、年齢を重ねた者の特権です。 さらに、今の自分の生き方を顧みるためにも活用したいところ。昭和人間世代は、いつの間にか「後先考えないで、とにかくがんばる」なんてことはしなくなりました。あの頃は、成果を得られるかどうかは二の次で、熱意も時間も手間も無尽蔵に費やしたものです。コスパとかタイパとか、そんなつまらないことを気にする発想はまったくありませんでした。 そもそも、クリスマスという5文字に幻想を抱いて、素晴らしい世界が広がっているはずと素直に信じることができたのは、とても貴重な体験です。 今の自分は、仕事にせよ趣味にせよ、そこまで素直な気持ちで情熱を傾けられているでしょうか。あの頃、「どうせこんなことしたって……」という気持ちが一瞬でもよぎっていたら、クリスマスの魔法は一瞬にして解けて、ワクワクうきうきした気持ちは台無しになっていたでしょう。 今年のクリスマスは家族と、あるいはひとりで久しぶりにケーキなどつつきつつ(コンビニスイーツでかまいません)、かつてクリスマスに対して抱いた情熱を思い出してみるのも一興。それなりに人生経験を重ねた今だからこそ、あの頃の自分のように、後先考えないでがんばることや、素直に情熱を傾けることが大きな意味を持ちます。 実り多い2025年、そして実り多い今後の人生へのスタートを切るためにも、もう一度、クリスマスの神通力に頼ってみましょう。何なら、来年のクリスマスに向けてオシャレなシティホテルに、とりあえず予約を入れておく手もあります。 ただ、予約したことをすっかり忘れたまま破局し、当日を迎えるとホテルに迷惑がかかります。大人の分別で現実味のない夢から覚めることができたら、早めのキャンセルをお忘れなく。 いや、キャンセルすることが前提みたいな言い方をしてすみません。
石原壮一郎