城氏が語る3戦未勝利のU-23代表「問題は選手のコミュニケーション不足。森保監督解任でも交代効果は期待できない」
連係、連動がうまくいかなかった原因のひとつは、選手間のコミュニケーション不足だろう。森保監督がマネジメントをしなくとも、選手同士で「こういうクロスがいくからつっこんでくれ」「ここにこんなボールを入れてくれ、入ったらここに来てくれ、俺は、ここへ飛び出るから」などという会話をしながらリズムを合わせていくもの。彼らは、そういう話をしていたのかもしれないが、それがカタチとして見えなければ、「していない」のと同じだ。チームは1月2日に招集されたばかりで、コミュニケーションを高める時間がなかったのかもしれないが、それを差し引いてもいただけなかった。 こうなってしまった背景には、ここまで75人もの代表メンバーを呼び、この時期になってもまだ選手選考を続けたことの影響もあったのだろう。もっと早くチームの軸を固めて、足りない部分をどう継ぎ足していくかを考えておかねばならなかったが、ついにチームのベースを作ることができなかった。どの選手のパフォーマンスも似たり寄ったり。疑いなく軸となる選手が出てこなかったことも、その理由としてあるのだろうが、五輪に向けてのチーム作り計画に問題はあったのかもしれない。 ただアンダー世代の代表招集には、国際的な優遇措置がないため、海外組が多くいるなか、メンバーを揃えることへの障害はあった。今回も海外組で招集できたのは食野亮太郎一人だけ。これはサッカー協会の交渉力の問題ではなく、ルールの問題。アンダー世代にまで海外組が増えてきたという新しい時代の流れが生んだ”歪”だが、この現状にどう対処するのかという明確な答えを見つけられないまま最悪の状況で五輪イヤーを迎えてしまったのも確かだ。 理想を言えば、今大会で優勝して五輪でのメダル獲得へ弾みをつけたかったのだろう。だが、他チームは、五輪切符がかかる大会で、出場権のある日本とは、緊張感、集中力が違った。そもそも五輪でのメダル獲得は容易ではない。ロンドン五輪で4位になった流れもあって「東京五輪ではメダルが取れる」という世論が高まっていたのだろうが、このチームは、安定して“いいサッカー“を見せたことはなく、私は、その空気は危険だと考えていた。この状況のまま五輪に突入すれば、さらにメダル獲得は難しくなる。ここからチームの課題を解決して戦えるチームを構築するには相当のエネルギーが必要になる。