【アイスホッケー】橋本 僚(レッドイーグルス北海道)ロングインタビュー後編「僕自身、キャリアの終盤に差し掛かっている。新しいこと、今まで気付かなかったことを探して日々、やっています」
開幕戦で昨年優勝のアニャンに2連勝。 思えば「悪い勘違い」もあったのかも
今シーズンのアジアリーグは昨年度優勝のHLアニャンが、上位2チームに与えられるプレーオフスポットに向けて順調に勝ち星を伸ばしている。現在2位のレッドイーグルス北海道は、序盤こそ独走していたものの、11月後半から1月にかけて調子を落としているようも見える。2021-2022、そして2022-2023シーズンにレッドイーグルスのキャプテンを務めたDF橋本僚選手に、今のチーム状況、そして今後の選手生活について聞いてみた。今回は後編をお届けする。 ――2023-2024シーズンは、いきなりアニャンとの開幕戦でした。1戦目は終盤55分に決勝点を挙げて2-1で1勝目を挙げて、2戦目は4-0と完封勝ち。「今季はレッドイーグルスがリーグの中心になる」と思った人も多かったと思います。 橋本 みんなが良い準備をしたということは言えると思います。ただ、ウチはチームの始動が早いんですよ。1カ月ぐらい、他のチームよりも早いんですね。今から考えると、たぶんその差だったのかなと思います。シーズンが深まるにつれて、他チームとの差が詰まってくる。たぶん、それだけの話だったんじゃないかな、と。シーズン序盤、ウチは体のデキも違うし、氷に乗るのも早かった。だから9月の開幕戦は「いい勘違い」と「悪い勘違い」があったと思うんです。「アニャンを相手に、こんなホッケーができるじゃん」という見方もあったかと思うんですが、「いや、1カ月もピークが早いんだから当然でしょ」という冷静な見方ができていたかどうか。1月のバックス戦で、土曜日の試合でビッグ・ウィンがあって、日曜日は波に乗れないで完封負けした。1月も下旬に差し掛かって、本当にチームが勝負どころにいるなと感じています。 ――11月25日、26日のアニャン戦に連敗して、12月3日の新横浜のグリッツ戦で初黒星を喫して、12月9日の全日本選手権では準決勝で姿を消して…。レッドイーグルスはどうしてしまったのだろうというファンもいたと思います。 橋本 シーズン序盤は「うまく行き過ぎた」という面もあったのかなと思います。前半はとにかく勝ち進んで、実際、調子もいいんです。でも、そのうち、だんだんと他のチームが調子を上げてくる。ホッケーの質も、相手チームがだんだんと上がってくるんです。前半に勝ちが先行してしまうと、どうしても見えなくなってしまうものがあるのかな、と。 ――全日本選手権は2018年の優勝が最後で、以降はバックス、クレインズ、フリーブレイズとライバルチームが優勝しています。2019年以降、レッドイーグルス(王子イーグルス時代を含めて)は決勝に1度も進出していないというのは意外です。 橋本 全日本選手権で、ウチの得点源であるPPの成功率が下がっていることもあるかもしれませんね。今季、アジアリーグでは、PPは開幕から50パーセントを超える確率があったのですが、今は(1月25日現在)36パーセント。やっぱり11月の下旬あたりからPPが入らなくなってきたんです。PPで入るのは確かにいいことなんですが、5人対5人の場面でも、なんとかこじ開けて点を取らなければいけない。そういう試行錯誤も、チームの成長に必要なことなのかなと思います。 ――2021年の全日本選手権は長野で行われましたが、「普段通りに戦っていく」と当時主将の橋本選手は言っていたんです。差し出がましいのですが、相手チームとすればレッドイーグルス相手に「互角で勝負」という考えは持っていないと思うんですね。10回やれば、たとえば7回、レッドイーグルスに勝ち目があるかもしれない。一発勝負で、どうやって勝ちに持っていくかという相手チームに対して、「普段通りに」だと受けに回ってしまうのではありませんか。 橋本 その前の全日本選手権(2020年、八戸)で、ウチはフリーブレイズに準決勝で敗れていたんです(結果は2-3)。その試合は、気負って、気負って、みんながたぎって「やったるぞ」という雰囲気だったのを覚えているんですよ。それから1年経って、相手も同じフリーブレイズ。みんな全日本選手権に背負い過ぎた部分もあったのかなって。それで「普段通りに」という言葉を使ったんです(2021年の結果は3-5)。今年(度)に関しても、全日本選手権を前に現キャプテンの中島(彰吾・FW)に言ったのは、「勝ちたいということも大事だけど、その前にやるべきことをしっかりやっていこうよ」ということでした。今回も全日本の負けはターニングポイントになる出来事だったので、負けた後に選手同士で、まずはキャプテンの中島がしゃべって、そしてアシスタント・キャプテンの山田(虎太朗・DF)、入倉(大雅・FW)、そしてミッツさん(井上光明・GK)にも話してもらったんです。 ――今、中島キャプテンとチームについて話すこともあるのですか。 橋本 はい。僕がキャプテンをやっている時に中島がアシスタントだったこともあって、「こうするのもいいんじゃないかな」という話はしています。ただ、僕があまり出しゃばるのもどうなのかな…と思っていますので、そこは気をつけていますね。
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