【アイスホッケー】橋本 僚(レッドイーグルス北海道)ロングインタビュー後編「僕自身、キャリアの終盤に差し掛かっている。新しいこと、今まで気付かなかったことを探して日々、やっています」
聖二はホッケーがダントツにうまい。 「得点王」になって目立ってほしい
――昨年10月に31歳を迎えましたが、新たな目標をどの辺においていますか。 橋本 間違いなく、キャリアの終盤に差し掛かっていると思うんです。その中で、新しいこと、今まで気付かなかったことを探して日々、やっています。ここ4年、佐々木一正選手と一緒にいいペアを築けてきたと思うんですけど、全日本を終えた時点で、ハリデー(慈英)が新しいバディになった。佐々木選手とは、もうすべてを預けられる唯一無二の存在だったんですが、バディが代わるというのは、たとえばパスひとつとっても強弱が変わるんですよ。FWはけっこうラインが変わったりもするんですけど、DFはバディとの関係が何よりも大事なんです。ハリデーとはイチから始めるので難しいことは難しいんですが、またそこで新しい発見もある。それはそれで楽しいですから。 ――現役を続ける傍ら、大学で勉強を続けて教職課程を取得されました。今後のキャリアはどんなふうに考えているのですか。 橋本 現役を終えたら、教員になる覚悟をもって今は過ごしています。でも、その前にホッケー選手をやり切った、そう言い切れるまでやるつもりです。今、息子が2歳なんですけど、まだアイスホッケーのことはわかんないと思うので、大きくなって、理解できるようになるまではやりたいなあと。 ――「35歳まで」とか「40歳まで」とか、区切って考えているのでしょうか。 橋本 特に考えていないですね。とにかく、自分から現役生活を手放すよりかは、自分なりにやり切って、それから次の世代にバトンタッチしたいという感じです。 ――2021年から「レッドイーグルス北海道」というクラブチームとして生まれ変わって、若いファン、特に女性の方が増えています。中でも実業団時代から見て「変わった」と思えるのは、昨年のプレーオフファイナルでアニャンに行く時、そして苫小牧に帰ってきた時にも、ファンの出迎えはこれまでにないものがありました。 橋本 練習を見に来てくださるファンの方がすごく増えましたよね。苫小牧で見送りをしてくれたのも本当にありがたかったし、中には空港まで来てくれるファンの方もいたんです。ここまでしてくれると、僕らにとっても大きなエネルギーになりますよ。ワシスタントのためにも勝ちたいし、いい相乗効果を生んでいるんじゃないかなと思います。 ――1月25日現在、リーグのランキングでは橋本選手は1位タイでアシスト王、そして橋本選手と同じ2011年入社の高橋聖二選手(FW)が得点王とポイント王です。同期でもある高橋選手は、橋本選手にとってどんな存在なのでしょう。 橋本 聖二はやっぱり、ホッケーがダントツにうまいんです。PPで一緒に出る機会も多いですし、一番、頼れる存在ですね。得点王になるチャンスもおそらく何年もあったと思いますが、今、ゴールで聖二が一番上にランキングされていることが僕もうれしい。やっぱり一番、得点をとってほしい人でもあるし、「聖二には目立ってほしいな」と思っていますね。 ――さて、2030年あるいは2034年の「札幌五輪」招致というのがありましたが、それがなくなってしまいました。札幌の北海高校で青春時代を過ごした橋本選手としては、思うところもあると思うのですが。 橋本 正直、僕もワンチャンあるのかなという期待感はありました。本当にショックのほうが大きいというか…。こんな近くで開かれるオリンピックが「なし」になった。残念だな、というのはありますね。 ――振り返れば橋本選手は、高校は別の地域に行く選択肢もあったと思うんです。高校時代、札幌に残ったのは、なぜなんでしょう。 橋本 いや、そこまで深い理由はないといいますか…純粋に北海高校に行きたいなと思って進路を選んだという、ただそれだけのことです。他の学校の特待生でという話も、あったのか、なかったのか、昔の話なので覚えていませんが、ただ、どこへ行っても「行った先がゴールではない」ということは思っていました。僕は子どものころから「王子に入りたい」ことが目標だった。北海に入ったことで、王子と道がつながっていたんです。だから今でも、「北海高校に進んでよかったな」と思っているんですよ。 (プロフィル)橋本 僚 1992年10月23日生まれ。北海道岩内町出身。泊ブルーマリーンシャークスから札幌フェニックス、北海高校を経て2011年、王子イーグルスに入団。クラブチーム「レッドイーグルス北海道」となった2021年から2シーズン、キャプテンに就任、2021-2022年にジャパンカップの連覇を果たす。2022-2023シーズン、3年ぶりに行われたアジアリーグでは、2大会連続のベスト6(ジャパンカップと合わせると4年連続ベスト6)に輝くなど、DFとして堅守を見せる一方、前線への効果的なパス、時にはジャンプを見せるなどチームの攻撃力アップに貢献している。2023-2024シーズン、アジアリーグのアシストランキングで、1月22日現在、「28」で首位をキープ。現在は「岩内町観光大使」および「泊村スポーツ大使」を務める。178センチ・75キロ。背番号は北海高校時代から「34」。
山口真一
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