フリーアナウンサー、吉田明世の“不都合”とは?【パントビスコ対談連載】
子どもの考えを理解して、尊重できたら
吉田明世「読んだ瞬間、涙が出そうになりました。絵本って子どもが読むものというイメージがまだあると思うんですけれど、絵本って“から”はあっても“まで”はないってよく言われてるんですね。何歳から楽しめるけれど、何歳までしか楽しめないというのがないんです」 パントビスコ「確かに、その通りです」 吉田明世「大体これくらいの年齢から理解できて楽しめますよ、という対象年齢はあるんですけど、赤ちゃん向けの絵本でも、例えば小学生の子とか中学生の子が読んでも楽しめます。変な話、おじいちゃんやおばあちゃんが読んでも楽しめるのが絵本なので」 パントビスコ「そう考えたら、対象年齢がすごく広いですね。他の本と比べると」 吉田明世「まさにこの『おれたクレヨン』は、子どもはもちろんなんですけど、大人にもすごく心に刺さるメッセージのある素敵な絵本だなと思いました」 パントビスコ「うれしいです。ありがとうございます。僕も作った後に思ったのですが、元々はお子さんに向けたものというか、親子で同じくらい得るものがあるといいなっていうコンセプトだったんですけど、仕上がった後に改めて読んでみると、ちょっと大人向けの割合の方が強いなと思いました。別に悪いことではなく」 吉田明世「可愛らしいイラストの中に深いメッセージがあるのがいいですよね。あと、我が家を覗かれているような気持ちになりました(笑)。3歳の息子と6歳の娘がいるんですけど、子どもがどうしてそうしたかっていうことを考える前に、こうしなさい、ああしなさいって常に言っちゃっているので、子どもには子どもなりの事情や考えがあって行動してるんだなっていうことを改めて気づかされました」 パントビスコ「そうおっしゃっていただけて、うれしいです。サイン会でも、読者の方から考えるきっかけになりましたというお声をいただいて」 吉田明世「お母さんの気持ちもよくわかりますし。本当にいつも反省するんですけど、やっぱり親としてこうしてほしいとか、私の気持ちをわかってほしいってついつい考えを押し付けちゃうことがあるんですよね。でも、子どもにも会社の人や友人みたいに接することが目標です。仕事しているときの自分みたいに、冷静に相手の気持ちはどうかなとか、顔色を見て探ることができたら、子どものことをもっと尊重できるんじゃないかなと思います」 パントビスコ「対等な関係として、分かり合えるといいですよね」 吉田明世「やっぱり子どもって、大人が想像しないところで優しさを発揮したりするんだなって。私も日々の子育ての中で、こうしちゃダメとか、こうしたら壊れちゃうから、とかっていうのを大人の目線で教えるにつれて、そういう優しさがどんどん生まれなくなっちゃってるのかなって感じる瞬間があります。生まれるはずだった優しさを大人が抑え込んじゃっているのではと」 パントビスコ「大人になって知識や選択肢が増えて、合理的な方に行くじゃないですか。そうなりすぎるのもあんまり良くないなって思うんですよ。子どもって選択肢が少ないがゆえに純度が高いものを選ぶというか。自分も、友達から今度遊び行こうとか連絡が来ても、お仕事を優先させてしまってるんですね。仕事はもういいや、とりあえずほったらかしてお花見行こうとか、そういう風に思うっていうのも実は大事なんじゃないかって思いました」 吉田明世「いろんなしがらみや自分の立場とか、そういうことを気にすると、思い切れなかったりしちゃいますもんね」 パントビスコ「そうなんですよね。だから、もっと自分がやりたいことだったり、あと、『ムリ・ムダ・ムラ』ってよく言うじゃないですか、社会人がやってはダメな3項目みたいな。それをあえてやっていこうと思っています」