ECB、いかなる政治的ショックにも対処できる準備必要-パネッタ氏
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は、不確実性が高い中で起こり得る政治的ショックに対処する準備を整えておく必要があると、政策委員会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁が述べた。
パネッタ氏はフランスの国民議会(下院)選挙の第1回投票を数日後に控えた26日にヘルシンキで講演。当局が用いているインフレ率と成長率の予測は「多くの可能性の中の一つにすぎない」と述べた。
「金融政策は、基本シナリオだけでなく、リスクとテールシナリオを管理する必要がある。政治的、地政学的リスクは依然として高く、そうしたことへの認識と柔軟性、国家に応じた行動計画が必要だ」と語った。
政治的変動は「資本流出や通貨安を引き起こし物価上昇圧力を生み出す可能性がある。また、信頼を揺るがし需要を弱め脆弱(ぜいじゃく)な回復を止めるかあるいは反転させる可能性すらある」と指摘。
「中銀は、このようなショックが起きた場合に対処できるように準備しておくべきだ」と論じ「金融スタンスを調整し、物価の安定を脅かすあらゆる脅威に対処し、金融政策の伝達メカニズムを守るために、自由に使えるあらゆる手段を駆使する用意がなければならない」と語った。
パネッタ氏は、欧州の金融政策サイクルが最初の利下げ後の「転換点」にあり、市場がそのプロセスの継続を注視していることを認めた。
「現在のマクロ経済の状況は、金融スタンスを正常化することと矛盾しない。ECBは数週間前にこのプロセスを想定通りに開始し、基本シナリオでは徐々にスムーズに進める見込みだ」と述べた。
原題:ECB Is Set to Start Next Strategy Review After Summer Break(抜粋)
--取材協力:Alexander Weber.
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Mark Schroers