センバツ高校野球 学石、最後まで全力 九回に満塁、あと1本 /福島
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は第2日の19日、1回戦3試合があり、33年ぶり4回目の出場の学法石川は第3試合で健大高崎(群馬)と対戦し、0―4で敗れた。伝統のスカイブルーのユニホームに身を包んだ学石の選手たちは最後まで諦めず、九回に満塁の好機を作るなど意地を見せ、一塁側のスタンドから大きな拍手が送られた。【竹田直人、江沢雄志】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 学法石川は投手陣が粘りの投球を見せた。先発した佐藤翼(2年)は初回から毎回、走者を背負ったが、外へ逃げるスライダーと生命線の内角への直球を投げ分けて得点を許さず、四、五回は連続で3者凡退に切って取った。佐藤は六回に暴投で1点を失うも力投を続けたが、七回に相手の積極的な走塁もあって降板。マウンドを引き継いだ主将の小宅(おやけ)善叶(よしと)(3年)、背番号「1」の大友瑠(るい)(3年)が気持ちのこもった投球で反撃に望みをつないだ。 打線は最終回、先頭の5番・小沢陸蒔(りくじ)(3年)、6番・小笠原涼太(3年)が連続で左前打を放って出塁。9番の大友が四球を選んで2死満塁の好機を作ったが、あと1本が出なかった。左右の好投手を擁する健大高崎の継投策に封じられた。 ◇一球の怖さを意識 ○…昨秋の東北大会では捕手で4番を打ち、投手としても完投勝利を収めるなど、投打の中心として甲子園での活躍が期待されていた大栄(おおさかえ)利哉(2年)。2月末の左足の負傷で先発出場できず、最終回で代打に立ったものの、「0点」の凡打に終わった。試合後は「自分のけがでチームを苦しめてしまった」と悔やみ、「今後は一球の怖さを意識してミート力を磨き、夏は自分がチームを甲子園に連れて行けるよう頑張りたい」と前を向いた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇甲子園、めっちゃ楽しい 学法石川 佐藤翼投手(2年) 大観衆が詰めかけた甲子園でも自慢の「強心臓」を発揮し、力投を見せた。「自分の投球が全国でも通用した」と試合後も笑顔だった。 もともと物おじしない性格。強打の捕手としてプロが注目する健大高崎の4番・箱山遥人(はると)(3年)についても「別にどうってことなかった」と言ってのける。言葉通り、初回の対戦は捕邪飛、三回は遊ゴロと、安打を許さなかった。 六回に暴投で1点を失ったが、「攻めの投球をした結果」と気にしなかった。負傷の大栄(おおさかえ)利哉(2年)に代わってマスクをかぶった先輩の捕手、渡辺莉央(りお)(3年)に対し「『低めに投げるからしっかり止めろ』と伝えていた」と明かし、「少しでも高めに投げていたら長打を打たれていたので(暴投は)仕方がなかった」と振り返る。 七回に降板したが、その表情には笑みが浮かんでいた。「甲子園はめっちゃ楽しい場所だった。夏にはチームのエースとして絶対に戻ってくる」。103球を楽しんだ背番号「10」は、さらなる高みを目指す。【竹田直人】