おわら、中学生が力 八尾・上新町、一挙7人が踊り手に 「風の盆」1日開幕
9月1~3日に富山市八尾町中心部で繰り広げられる「越中八尾おわら風の盆」で、おわらを受け継ぐ11町の一つ上新町では、中学生7人が初めて踊り手として臨む。例年新たな加入者は1、2人だったが、今年は親類や友人のつながりで伝統芸能に関心を持つ子どもが増えたという。初舞台を控えた7人は最終調整で優美な所作を磨いている。 【写真】本番に向け踊りや演奏を確かめる住民 新たに加わったのは、いずれも八尾中1年の邑﨑陽希さん、坂本美玲さん、坂本玲良さん、武部梓さん、中村穂華さん、楠華穂さん、堀旺志さん。上新町の踊り手は昨年の24人から31人に増えた。7人は稽古が本格化した22日から毎日参加し、哀愁を帯びた音色に合わせて所作を一つ一つ確認している。 7人は編み笠で制限された視界に苦戦しながらも、繰り返し体を動かして所作を身につけた。武部さんは「バランスや周りとのタイミングが合わせづらいけど、三味線の音を頼りに踊りたい」と意気込んだ。中村さんは、「編み笠の向きを意識し、前を向いて踊る」と話した。 稽古では同世代で互いに指摘し合って技術を高めており、坂本美玲さんは「このメンバーなら何でもできそう」と笑顔を見せた。中学生を含めた踊り手と地方衆は、最終調整で本番に向けて機運を高めた。 八十島大輔総代は、町流しにさらなる活気が生まれるとして「ずっと続けてくれるとうれしい」と話した。 ●無事の開催願い稽古 おわらを受け継ぐ11町では台風10号が接近する中、無事の開催を願う関係者の稽古が大詰めを迎えている。 上新町の祐教寺では29日、踊り手と地方衆約50人が集まり稽古した。胡弓と三味線の演奏に唄が重なり、踊り手が所作を確認した。 地方衆で三味線を演奏する杉江宏之さん(55)は「この日のために稽古してきた。打倒台風を胸に本番に臨む」と話した。城岸司さん(60)は「今年はどんな風の盆になるのか、皆でわくわくしている」と語った。 ●1日に対応決定 おわら風の盆行事運営委員会は、風の盆当日の実施内容や台風接近を受けた対応を警察、消防など関係機関と協議して1日に決定する。 ●鉄道遅れや運休の可能性 JR西日本、富山地方鉄道、あいの風とやま鉄道は1~3日のおわら風の盆期間中、台風10号で各公共交通機関に大幅な遅れや運転取りやめが発生する可能性があると発表した。各社のホームページで運行情報を確認するよう求めている。 ●ホテル1~3日キャンセル目立つ 富山県内のホテルでは台風の影響でキャンセルが出ている。ANAクラウンプラザホテル富山(富山市)は先週からキャンセルの問い合わせが目立つ。例年、おわら風の盆の期間は満室に近く、今年の1~3日も当初は9割近く予約で埋まっていたが、現在は8割程度となっている。担当者は「進路が読みにくく、これ以上キャンセルが出ないと信じるしかない」と話した。 ホテルグランテラス富山(同)は31日~3日で10件以上の宿泊取りやめが出ている。担当者は「普段は稼ぎ時なのに厳しい状況だ」と語った。