高齢化する戦争体験者「伝え残したい」 NHK戦争証言アーカイブス・プロデューサーに聞く(上)
太田氏自身、戦争体験者の証言を取るのが難しいと感じていた時期があった。それが、証言者が高齢化するくらいのころから、取材に応じてくれる人が増えてきた。 太田氏はこうおもんぱかる。「自分の人生の最後の時を迎えつつあって、いま語っておかないと、自分が生死の境目を体験したほどの凄絶な体験が『なかった』ことになってしまうのではないか、という思いをそれぞれの方がお持ちになっているのを感じる。このままでは戦争体験の記憶が途絶えてしまうことを、戦争を体験した方たち自身がすごく心配されていて、そういう言葉を残してくださったのだと思う」。 冒頭のテニアン島の証言者は、取材した若い女性ディレクターにこう伝えたという。 「こういう体験は自分だけでいい。あなた方はこんな体験はしないようにしてください」。