兵庫県立こども病院で医療ミス 生後6カ月の女児に高濃度の抗菌薬を投与、2時間半後に死亡
兵庫県立こども病院(神戸市中央区)は14日、生後6カ月の女児に9月、通常濃度の5倍の抗菌薬(抗生物質)を投与する医療ミスがあったと発表した。女児は容体が悪化し、投薬開始から約2時間半後に死亡した。病院は「医療ミスと死亡との因果関係は現時点で明らかではない」とし、病院内外の医師らによる医療事故調査委員会を設置して原因を調べる。 【写真】記者会見で頭を下げる兵庫県立こども病院の飯島一誠病院長ら 同病院によると、死亡した女児は今年3月に同病院で生まれ、先天性疾患のため入院。7人の医師による専門チームが処置に当たっていた。 うち総合診療科の担当医は9月上旬、女児に肺炎の症状があり、エックス線や血液検査、感染症の流行状況から「マイコプラズマ肺炎」の可能性があると診断。治療薬として抗生物質のアジスロマイシン水和物(販売名ジスロマック)を計45ミリグラム投与しようとした。 その際、医師は本来投与するべき濃度の5倍を看護師に伝え、結果的に計225ミリグラムを投与した。また、本来2時間かけなくてはならない点滴を1時間で投与するよう指示していた。 経過観察していた看護師が、女児の心拍数が低下していることを確認。心肺蘇生を施したが、約1時間半後に死亡した。その後の病理解剖で、女児からは新型コロナウイルスの陽性反応があったという。 院内のヒアリングに対して医師は「思い込みで(投与の注意点などを記した)資料を見誤ってしまった」と説明しているという。 飯島一誠院長は会見で「患者やご家族に深くおわび申し上げる」と謝罪。その上で「過量投与や投与時間の検証に限らず、抗菌薬を投与する決定過程など幅広い分析を行う」とした。(千葉翔大)