スリランカ議会選 大統領派が3議席から過半数に躍進、「債務の罠」からの脱皮目指す
巨額の対外債務を抱え経済危機にあるインド洋の島国スリランカで14日に投票された議会選(一院制、225議席)は、ディサナヤカ大統領率いる人民解放戦線(JVP)が参加する左派勢力、人民の力(NPP)が圧勝した。議席数は解散前の3から過半数に大きく躍進。ディサナヤカ氏は公約した減税や貧困対策を推進するとみられる。 選管の途中集計によると、NPPは140議席を超え、解散前に第1党だったスリランカ人民戦線(SLPP)は、数議席と惨敗する見通し。 これまで、港湾や空港整備など大型公共事業を行ってきたスリランカはデフォルト(債務不履行)となり、いわゆる中国の「債務の罠」にも陥った。ウィクラマシンハ前政権は国際通貨基金(IMF)や日中など債権国の支援を得て経済改革を進めたが、「増税などは失政のツケを国民に負わせたものだ」といった有権者の怒りを背景に、9月の大統領選で改革見直しを掲げたディサナヤカ氏が初当選を果たした。同氏は、IMFとの再交渉を進めている。 ディサナヤカ氏は、政権を盤石にするため、大統領就任直後に議会を解散し、総選挙に打って出ていた。政治腐敗批判を受け、大統領制度の見直しも目指している。 JVPは、マルクス・レーニン主義を掲げ、1970~80年代に反政府武装闘争を展開した。(岩田智雄)