《藤本博史の巻》球団「怖い人トップ3」だけど、こまやかに気を使う人情家【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】
【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#18 藤本博史 ◇ ◇ ◇ ❤SEXYすぎるっ!!!❤ SB栗原の妻は雑誌でも大活躍のグラドル! ヒゲをたくわえ、いかにもコワモテといった風貌。前監督で、現在は球団の特別アドバイザーを務める藤本博史さん(60)はその見た目通り、厳しい面があります。 柳田の項で書いたように、一度やると決めた練習は強引に引きずってでもやらせる。特に怒らせたら怖い。ホークスでは藤本さん、打撃コーチの立花義家さん、投手コーチの高山郁夫さんの3人が、「怖い人物」の3トップでした。 乱闘となると、この3人が真っ先に「おらー!」などと叫んで向かって行こうとする。そうでなくとも、ベンチで相手への文句を言っている。僕ら裏方は割と冷静に試合を見ているので、「この人たち、危ないわあ」と戦々恐々としていたのを思い出します。でも、それも自軍の選手を思ってのことです。 ただ、3人ともガンコではない。メリハリをつけるのがうまく、藤本さんが二軍監督時代、「いっちゃん(一郎なので)、どう思う? そろそろ勝ちに行った方がいいかな」と聞かれたことがあります。僕はあくまで自分の考えだと前置きして、「ウチは三軍がある以上、そこが育成の場になるんで、二軍はある程度は勝たないといけないんじゃないですかね」と言うと、「そうか……。じゃ、勝ちに行くか」と、采配を切り替える。そうした柔軟性も藤本さんの持ち味です。 こまやかに気を使える人情家でもあり、南海時代は裏方の待遇改善を球団に直訴したこともあります。二軍監督時代はこんなことがありました。 一軍もそうですが、二軍もシーズン開幕戦などは監督がファンの前で「みなさん、本日はお集まりいただき……」などのスピーチをします。その時の言葉遣いに間違いはないか推敲を重ね、予行演習までやっていました。「いまからしゃべるから、聞いとけ」と僕の前で原稿を読みながらスピーチをする。僕が「いいんじゃないですか」と言うと、今度は別のスタッフにも「ちょっと聞いてくれ」と、繰り返す。 いざ本番では原稿を見ずにしゃべるので、飛ばしてしまう箇所もあり、「あー、飛ばしてもうたわ」と頭を抱えていることもありました。 指導も強引一辺倒ではなく、要所で「動きながら打ってもダメ。止まって打たなきゃ意味ないやろ」と親身にアドバイスをしたり、自ら打撃投手を買って出ることもありました。しかも、右利きなのに左腕で投げることもあるなど、器用な面もあります。 一軍監督としては優勝を果たせませんでしたが、藤本さんが起用し、育てた選手が今季の優勝に貢献したことは確かでしょう。 (田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)