「不機嫌アピールで、相手をコントロールする人」から離れる1つの方法
「不満や怒り」を使う人への対処法
小さい子って、気に食わないことがあると、だだをこねたりして他人を動かそうとするところがあります。子どもなら「かわいいな」と思えたり、「しょうがない」と流して終わったりしますが、大人の場合はなかなかそうは思えないですよね。 そのうえ、大人の中には「不満や怒りをぶつけることで、相手を思いどおりに動かす」、そんなふうに人間関係の武器として「不満や怒り」を使う人もいたりします。 本人は「怒りで相手を思いどおりに動かそう」なんて意識しているわけではないかもしれません。でも、自分の「怒り」で相手を動かした成功体験もある。相手を動かすには「怒る」が手っとり早くて効果的だ。そんなことをこれまでの経験から学んで人間関係にもち込む人だったりするのでしょう。一緒にいるとかなりやっかいな人といえます。 そんな人とは離れたほうがいい。他人に強い感情をぶつけるというのは立派な暴力だからです。近所や友人の中にいたら、そっと距離をとって「なるべくかかわらない」というスタンスをとるのがいいかもしれません。 けれども職場にそういう人がいて、上司や同じチームのメンバーなど避けられない関係だとしたら、「なるべくかかわらない」というわけにもいかないでしょう。 そんなときは、「心理的に距離をとってみる」のがおすすめです。まずは、「相手の感情」は相手のものだと線引きすることが大事です。相手の感情は、「相手の領域」といえます。目の前の人の「怒り」は、相手の問題であって、「あなたのせい」ではありません。その人は、その人の理由があって勝手に怒っている。それくらいの線引きで考えてみるのです。 そのうえで、「心理的に距離をとる」のです。たとえばですが、かかわらなければいけない相手が上司だとしたら、上司を「人」と思うのではなく、「猫」と思ってみるというやり方があります。「なんかシャーシャー言ってるけど、お腹が減ったのかな?」「うなってるけど、しばらくほうっておけば寝だすかも」というように上司を心の中で見てみるのです。 目の前の怒ってくる上司にこういう見方ができれば、まあまあ「心理的な距離」をつくれるのではないでしょうか。そうやって心理的に距離をとったうえで、少し落ち着いた気持ちで相手に接することができれば、相手との関係も少しは変わっていくこともあると思います。 「自分のせい」だと思うのをやめて、そっと距離をとってみる。それが難しいなら、心理的な距離をとってみる。そんなやり方もあると覚えておいてほしいなと思います。
藤野智哉(精神科医)