“棄権”覚悟で挑んだ鈴木芽吹、日本歴代5位の記録も「本当に悔しい」10000m26分台を目指した日本人選手たちの戦い
■ 日本人学生最高を狙った篠原は「後悔はない」 先輩の鈴木以上に序盤は攻めの走りを見せたのが5000m(屋外)とハーフマラソンで日本人学生最高記録を持つ篠原倖太朗(駒大4)だ。3000mまでは日本人最上位でレースを進めるも、中盤以降は苦しくなる。10000mの日本人学生最高記録(27分21秒52)を目指していたが、28分05秒22でレースを終えた。 「今回はハイペースで入ったので、大きく崩れちゃいましたけど後悔はないです。予定より早くペースメーカーが離れるなど、ちょっとイレギュラーがあって、体力を削られちゃった部分もありましたが、今回は自分の力不足を感じましたね」 全日本大学駅伝は7区で平林清澄(國學院大4)、太田蒼生(青学大4)らを抑えて区間賞を獲得。“エース対決”を制したが、今回は万全な状態ではなかったようだ。 「全日本でピークが合っているので、そこからは少し崩れていると思うんですけど、そんなに悪くないかなという感じでした。ただ全日本はキロ2分50秒ぐらいのペースで合わせていたので、今回の400m65秒ペースはきつかったですね。今回のレースを良い経験と捉えて、箱根駅伝にはしっかりと合わせていきたい。自分的には2区を走りたいですけど、任された区間で、任された以上の走りができるように頑張っていきます」 世界を目指して26分台ペースを経験した篠原。今度は駒大の主将として、絶対に負けられない正月決戦に向かっていく。
■ 遠藤日向が7年ぶりの10000mに出場 オレゴン&ブダペスト世界陸上5000m代表の遠藤日向(住友電工)が7年ぶりの10000mに出場した。前半は集団後方でレースを進めると、後半はもっと苦しくなる。ペースを落として、完走者では最下位となる28分38秒49の10着でゴールした。 「いまの僕のレベルだとちょっと組が速すぎましたね。そんなに甘くないことはわかっていたんですけど、実際に体験して改めて難しいなと思いました。(10000mは)長かったです(笑)」 直前まで長野・菅平で合宿を行い、トレーニングは「9割くらい予定通り」にできたが、「なかなか状態が上がってこなかった」という。それでも「27分台なら」という淡い期待もあったが、久しぶりの10000mは甘くなかった。 「5000mにつながる10000mという考えもありましたし、結果次第では10000mという路線を視野に入れながら今回チャレンジしました。きつくなって離れてしまったんですけど、そこから粘れるような感覚もあったんです。でもペースを上げようとすると、差し込みが来てしまって……。タイムは全然良くないですね」 パリ五輪代表を逃した後は、「自分のカラダが自分じゃないような感じで、練習も全然できないし、気持ちも乗らなかった」としばらくはショックを引きずったが、今大会を経て、競技へのモチベーションは高まっている。 「特に痛みもないですし、まずはニューイヤー駅伝に合わせて、その後は渡米してインドアで記録を狙っていけたらなと思っています。来季は5000mでまずは自己ベスト(13分10秒69)。それから日本記録(13分08秒40)の更新を目指していきたい」 箱根駅伝よりトラックで世界と勝負することを選んだ遠藤。東京世界陸上で再び、世界にアタックする──。
酒井 政人