「ウツウツ、イライラ」から抜け出すたった1つの方法
ウツウツ、イライラが生じる仕組み
ご存じの通り、思考を司るのは左脳であり、感覚を司るのは右脳です。 左脳の特徴は、「自分と自分以外」「A、B、C」というように、境界を切り分けて物事を処理すること。もう一つは時間の認識、つまり、出来事に時間を付けることで時系列に並べて処理するという働きです。そして、言葉を理解して処理することも左脳の大切な役割です。境界線、時間、言葉などを組み合わせて論理的思考を成り立たせているのが、左脳なのです。 一方、右脳は物事を細かく分けず、全体として処理することが得意です。五感を使いながら、雰囲気や空気感といった言葉にできない感覚を感じ取ります。 例えば、景色を眺めて美しさを感じたり、音楽を聞いて感動したり、お気に入りの場所でホッと安らいだり。そうした美しさや感動、安らぎを言葉で論理的に説明することはできませんが、右脳は確かにそういった感覚を感じています。 この思考と感覚は、「シーソー」のような関係になっています。双方同時に優位にすることはできず、一方が増えれば、もう一方は減る。だから、思考を減らしたければ、感覚を増やすことが必要です。思考が減れば、安らかさや幸福感を自然と感じられるようになります。人間の脳はそうできているのです。 実は、怒りや悲しみ、不安といったネガティブな感情も、左脳の思考がもとになっている場合が多いのです。 左脳の働きが強いと、人々を区別・分離する傾向が強まり、次第に自分を周囲から切り離し、孤立させていくようになります。また、過去を振り返り、未来を予想するのも左脳の働きです。過ぎたことを考え続けてクヨクヨする。未来のことを予想して心配し、不安になる。「自分は他人にこう思われている」などと勝手に想像して、悲しみや怒りがわいてくる。 物事が正しいか間違っているか、成功か失敗かできっちり判断しようとするのも左脳の働きです。そして、失敗のないようにコントロールしようするほど、不安に駆られて苦しくなっていくのです。 このように、私たちの生活は左脳を主役として、常に忙しく考え続けています。一方の右脳はあまり目立たず、どちらかといえば裏方です。言葉では表現できないけれど、日々の生活で確かに感じている心地よさや安らかさ、美しさなどの感覚は、思考が強くなるほど切り捨てられていきます。こうなると、生きることがとても味気なく、つまらないものになってしまうのです。