【デーブ大久保コラム】日本一の要因は桑原将志のひと言でしょう。チーム全体でアドレナリンが出ました
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 DeNAベイスターズの日本一の要因についていろいろと語られていますが、多くの方が挙げられているのは? 桑原(桑原将志)の「負けて悔しくないんか?」という檄(げき)の言葉だそうです。デーブ的にもまったくそのとおりだな、と。 【選手データ】桑原将志 プロフィール・通算成績 日本シリーズで、本拠地で2連敗してからの緊急ミーティングで出たという話ですが、この報道を聞いてから実は「ベイスターズあるかも!?」と。後付けと言われても構いませんよ。それだけの理由が私の中にあったからです。 人が一番の力を発揮するのが「恐怖と怒り」を感じたとき。皆さんの中にも経験がある方がいると思いますが、例えばめちゃくちゃ怒ったとき。何かに当たって拳を上げたとします。冷静なときに、その場所を殴ろうとしたら「痛いよな」と思い躊躇(ちゅうちょ)しますよね。でも、怒ったときは冷静ではないし、興奮しているので、つい殴ってしまう。そして冷静になったときに「痛い……」となる。 恐怖のときにも、必死に逃走するので、何かに足をぶつけても、その場から立ち去りたいので、痛みなど感じずにひたすら逃げるはずです。そして恐怖から解放されたとき「何か痛いなあ、あ! アザができている」となるんです。そういう経験はないですか? それがアドレナリンが出ているということなのです。 交感神経と副交感神経は、こういう大舞台では、実はこの2つの神経がそれぞれに高くなっています。それらがお互いに高い状態でキープされると、冷静な状態がつくり出されます。だからこそハイパフォーマンスをわれわれは見ることができるのです。 その状態から桑原のひと言で、チーム全体のアドレナリンが一気に出たのだろうと思いますし、私がそのひと言を聞いたときに、もしかして……と思った要因がそこにあります。つまり「やってやろうじゃないか! 絶対に負けない」という怒りに近い感情が、チーム全体を支配していったのではないかと思うんです。 そういう怒りに近い感情の興奮状態が続かないと、敵地のあの球場の雰囲気の中で3連勝するのは至難の業です。実際のベイスターズとホークスの単純な戦力差を考えると、ホークスが3連敗すると考える解説者はほとんどいないと思います。 興奮状態をどれだけ予測しても、一気に4連勝まで持っていくとは想像しづらい。まさにチーム一体となって勝つたびにいい意味でのアドレナリンが出まくっていたと言えます。横浜スタジアムでは、チームの熱気とスタジアムのファンの熱気がホークスナインを圧倒したんです。現役時代にそういう感覚に相手チームとしてなったことが何度かありますので、肌で分かるんです。 さてベイスターズの来季はどうなるか。日本シリーズは短期決戦、シーズンは長いです。やはり10個くらい貯金をつくれる投手の補強が必要になります。それとともに日本一の達成感を持たずに、挑戦者の気持ちで臨めるかどうかが、27年ぶりのリーグ優勝への条件になります。
週刊ベースボール