¥ellow Bucksが語る、引き算で核心を捉えるラップ、地元凱旋ライブの意味
ローカルとグローバル ¥ellow Bucksのストーリーは続く
―地元である飛騨高山(岐阜県高山市)でのライブに関しては、いつから準備を進めていたのですか? ずっと昔からやりたくて、1年半くらい前から計画はしていたんです。でも、なかなか場所がなくて。最終的に色々と決まったのは今年の春くらいですね。 -このタイミングで凱旋ライブを開催するということは、¥ellow Bucksさんにとってどんな意味を持ちますか? 意味か……。原点回帰ってところなんですかね。それこそ、AK¥Bのプロジェクトの時にも原点回帰とはよく言ってたんですけど、今回は改めて<自分が来たところに戻る>という気持ちが強いです。でも、ただ<戻る>だけじゃなくて、僕自身は進んでるんですよね。 ―物理的には戻っているけど、キャリア的にはずっと進み続けている。 はい。だから、ただ<戻る>だけじゃない。あとやっぱり、どのジャンルにおいてもストーリーがあるアーティストっていいなと思うんですよね。結局、そこなんじゃんじゃないかと思うんです。じゃないとマンネリ化するというか。例えば、その場所と関連するストーリーがない俺が武道館でライブするのと、俺が飛騨高山で凱旋ライブをするのとでは全く違うものになるじゃないですか。アーティストとして、意味があるものをやりたいし、見ているファンもそっちの方が面白いと思うんです。だから、今回の凱旋ライブはいいタイミングなのかなと思いますね。 ―ライブ自体はバンドセットになるとも公開されていますが、どんな内容になりそうですか? 去年の夏のボトムラインでのツアーファイナル以来のバンドセットなんですけど、今回はメンバーも変わりまたさらにパワーアップしたバンドセットになりそうです。各パートの一人ひとりが凄いスキルの持ち主の集まりなので、高山の人たちもビックリするライブになるかなと思います。自分としても楽しみです。 ―¥ellow Bucksさんといえばもちろん東海地方を代表するラッパーというイメージがありますが、地元・高山市に関連するプロジェクトも進行している? はい。もともと、地元に自分たちが歌っていたクラブみたいなところがあったんですけど、その場所が買われてしまって、もう使えなくなってしまったんですよ。だから、2年くらい前からそうした場所をもう一回やりたいなと思っていたんです。そこで「どうしようかな」と思って物件を探していたら、古い街並みの中にいい物件が出てきて。それを友人と見に行って、「何かできたら面白いね」という話になり、本格的に動き出しました。基本的には友人に任せているんですけど、「ONDO」という屋号で10月26日にオープンしたところです。 ―お店はライブもできるような場所ですか?バーみたいな? コーヒーを提供するカフェがあって、夜はお酒も提供できる場所。これからできることもたくさん増えていくと思うんですけど、お店の中に蔵があるんですよ。最初はそこにレコードバーを作りたいという話もあって、今後は蔵のスペースに色々と手を加えていく予定です。それに、海外から観光に来た外国人の皆さんがコミュニケーションを取れる空間になっていけばいいとも思うし。飛騨高山って、海外から来るインバウンドのお客さんもたくさん来ているんですけど、よその会社が仕切っているところも多くて、地元の高山の人たちが稼げていないんですよ。だから、ちゃんと地元の人が運営して収入を産むことができる場所があればいいなと思っていて。今後市長さんともお会いする機会が作れればとも思ってますし、自分が高山市に戻る機会も増えたりしていますし、自分の活動が町おこしにつながればなと。 ―すごい。続々と地域貢献的なプロジェクトが進行しているんですね。 そうですね。地域貢献と言えると思います。自分の凱旋ライブもあるし、複合的に盛り上げていければ。 ―ちなみに、今現在の高山市におけるヒップホップ・コミュニティーはどんな風に盛り上がっていますか? 音楽人口は減っていると感じるんです。今、ヒップホップがブワーッと盛り上がっていますけど、そうなる前の方が(高山市では)栄えていた気がしますね。今は逆に過疎化している気がします。クラブもないしDJも少ない、ラッパーも少ない。それが高山の現実かなと思います。でも、そんな中でも音楽をやっている子はいるので、だからこそ地元で俺のこういう姿を見せることができたらと思いますし。「場所とか関係なく、自分の好きなことは全然やれちゃうよ」っていうところも感じてほしい。 ―今後の展望や、すでに決まっているプロジェクトなどありますか? そうですね。年末の11月にはタイで開催されるヒップホップフェスのRolling Loudにも出演するんですけど、自分にとっては初めての海外でのライブなんです。なので、ちゃんと日本のカルチャーも大事にしつつ、日本人のラッパーとして背負うものを背負いながら、そういう場所でも勝負したいと思っています。来年以降、もっとそんなプロジェクトができたらと思いますね。 ¥ellow Bucks ライブ情報 11/22 TOKAI X BULLSHIT 11/24 Rolling Loud Thailand 2024 11/29 凱旋 LIVE IN HIDA TAKAYAMA 3rdアルバム『Jungle 2』 ¥ellow Bucks 配信中
Shiho Watanabe