【動画】創業77年、尼崎のビリヤード場が閉店 ── 常連客らが集まり笑顔で営業終了
兵庫県尼崎市にある1937年(昭和12年)創業のビリヤード店「小林撞球場」が7日夜、創業77年の歴史に幕を閉じた。夫婦で店を営み、地元に愛されていたが3年前に夫が他界。以来、妻が1人で店を切り盛りしてきたが、体調不良などから閉店を決めた。同日には「最後の大会」と「お別れ会」が開催され、常連客が支えていた同店らしく、笑顔の営業終了となった。
夫死去後に閉店考えるも、常連客らの支えで営業継続
同店で「おばちゃん」の愛称で親しまれている店主の小林シヅヱさん(83)によると、この店は夫の故・光雄さんのおじである鹿蔵さん、ニワさん夫妻が開業。戦争で周辺に同業者は50店近くあったが大半は営業を終了。キャロム台が5台ある店は全国的にもほとんどなく、店のうわさは大阪にまで広がるほどだった。 長年、光雄さんとともに店を営んできたが、2011年5月に光雄さんが83歳で他界。シヅヱさんは光雄さん死去の際も閉店を考えたが、多くの常連客らが「そうじとかは、ワシらでやるから」と申し出たため、これまで営業を続けてきた。だが、シヅヱさんの体調が思わしくなく、秋に閉店を発表。以来、各地から客が訪れては、閉店を惜しむ声が相次いだという。
最終営業日は常連客らによる大会、77年の歴史に幕
最終営業日となった同日も、おばちゃんが見守る中、多くの常連客らが訪れ「最後の大会」が行われた。同店にはポケットのないビリヤードテーブル「キャロム台」が並び、主に「四つ球」を楽しんでいる。 大会終了後には「さよなら小林撞球場」という大きな紙が張られ、常連客らにより最後の表彰式と「お別れ会」が開かれた。客の1人ひとりが、おばちゃんらと思い出話に花を咲かせる。77年も営業してきただけあって、話は尽きない。 滋賀県で暮らすシヅヱさんの娘らも駆けつけ、盛大な形で77年の歴史に幕を閉じた。シヅヱさんは「このキャロム台は愛知の人が引き取ってくれることになって、ほんまにホッとしました。全国にこの国産のキャロム台をこれだけ置いていたのは、ウチだけやったからね。また、違う店に受け継がれていくのはほんまにうれしいです」とホッとした様子をみせる。 また、「ほんまは80年までやりたかったけど、体がしんどいからね。けど、最後にこうして皆さんが集まってくれてうれしいですわ。今までありがとうございました」と笑顔で語った。 シヅヱさんは看護師をしている娘家族のいる滋賀県へ引っ越す。おばちゃん、光雄さん、娘さん、常連客らの様々な思い出がつまった「小林撞球場」。最後は明るく77年の歴史に幕を閉じた。