「禁酒」も場合によっては逆効果?アルコールと健全な関係の築き方
健全な妥協点
依存症を専門とする精神科医のトレイシー・マイトン医師によると、飲酒が習慣になっているなら、まずは自分に正直になり、それが依存症になっているかいないかを考えることが大切。「飲みたいという強い衝動を感じる、他のことより飲むことを優先する、有害な/負の影響が出ているにもかかわらず飲み続けてしまう、離脱症状が現れる、その症状を和らげるためにもっと飲むというのは、アルコール依存症の特徴です」 マイトン医師いわくアルコール依存症の兆候が見られるときは、突然やめようとせず、かかりつけ医に相談すること。完全に禁酒しなくても、健康に対するリスクを考慮して英国民医療サービスNHSが推奨する1週間で14ユニットの範囲内なら、“節度ある”飲酒をしていることになる。1週間で14ユニットというのは、ワインボトルで1.5本分、ビールで6パイント(イギリスの1パイント=約568ml)分、ジントニックで8杯分。「これを超えているときは減らすようにしてください」とマイトン医師。「毎週マックスの14ユニットまで飲んでいるという人は、1週間の中で飲酒量を分散させてリスクを最小限に抑えましょう」 ドライジャヌアリーやソバーオクトーバーといった一時的な禁酒期間が明けてから、いつも以上に飲むのもNG。「これではクラッシュダイエットをしてすぐリバウンドするのと変わりません。それよりも、1年を通して飲酒量を減らしたほうがいいでしょう」とマイトン医師。 もちろん、体重さえ管理すればアルコールと健全な関係が築けるというわけではない。The Chelsea Psychology Clinicの共同創業者で顧問心理学者のエレナ・トゥローニ博士は“内省”を強く勧める。「お酒を飲みすぎてしまう人は、ブロックしたい感情や避けたい感情にアルコールで対処している可能性が高いので、その感情の根本的な原因を特定することが大切です」 トゥローニ博士によると、リラックスするために飲んでいる人は、お酒に頼らないリラクゼーションの習慣を築くといい(パズルでもノンアルコール飲料でもポッドキャストでもOK)。また、アルコールでたまに自分を甘やかすだけのつもりが自分をダメにしていることに気付いたときは、その問題を身近な人(あるいは専門家)に打ち明けて。「アルコールとの関係が複雑な人は、自分自身との関係も複雑な傾向にありますからね」