YouTuberはアイドルプロデュースしがち? 朝倉未来ら人気クリエイターの事例から背景に迫る
YouTuberのプロデュース業といえば、思い浮かぶのはアパレル。しかし最近は、鉄板ともいえるアパレル以外に、朝倉未来やコレコレ、ほりえりくなど、さまざまな動画クリエイターがアイドルプロデュースを手がけているようなのだ。一体なぜYouTuberたちはアイドルプロデュースに乗り出すのか。その理由に迫ってみたい。 【写真】朝倉のもとに集まるアイドル志望の女性たち つんく♂とアイドルのプロデュースについても語り合う 人気YouTuberや実業家として活躍する朝倉未来(チャンネル登録者数341万人/2024年8月15日時点)。その朝倉が最近、ABEMAとタッグを組み取り組んでいるのが「Dark Idol」というアイドルプロデュース企画だ。同企画は朝倉の「女性のセカンドチャンスを応援できるプロジェクトを新たに立ち上げたい」という思いから始まったため、夢に敗れた過去や挫折を経験してきた“訳あり”女性たちがアイドルを目指すという珍しいコンセプト。これまでのアイドルのイメージを覆す新たなアイドルの誕生に向け、現在選考が進んでいる。 ライブ配信の王こと人気YouTuberのコレコレ(登録者数 226万人)は、「Kore:ct」や「コレって恋ですか?(通称:コレ恋)」のプロデューサーとしても活躍。コレ恋はネット配信を軸にした「配信ネイティブアイドル」というコンセプトのもと、YouTubeやTikTok、ツイキャスを主戦場として活動していた6人組アイドルグループだ。残念ながら同グループは3年7か月に及ぶ活動を経て、2023年4月に解散してしまったが、Zeepでの単独公演のほかKANSAI COLLECTIONなどさまざまなイベントに出演するなど一定の痕跡を刻んでおり、コレコレはもちろん、在籍していたメンバーたちの努力が感じられる。 これが最後の動画です、今まで応援してくれてありがとうございました。【コレ恋】 2021年1月をもって解散したYouTuberグループ「さんこいち」のほりえりくもまた、アイドルのプロデュースを手がけるクリエイターのひとり。2023年2月に投稿した動画では、YouTuberからアイドル事務所「RAISE inc.」の代表取締役に転身後、アイドルグループ「1つ足りない賽は投げられた(通称:ひとさい)」などをプロデュースしていたことを報告。ひとさいはライブとSNSをメインの活動の場としているグループなのだが、ほりえはもともと「さんこいち」以外のYouTuberのプロデュースをしていた経験もあり、SNSを活用したプロデュースにおいては現役時代からの実績は十分。自身が作り上げてきたノウハウを活かせる事業として、プロデュース業は最適だったと考えられる。 しかしなぜYouTuberたちはアイドルプロデュースに挑戦するのか。それにはほりえのような実績やノウハウを活かせるといった以外にも、アイドル業界ならではの理由がありそうなのだ。 矢野経済研究所が発表した2023年の『「オタク」に関する消費者アンケート調査』では、アイドル分野のオタク推定人数は429万人。VTuberやアニメ、漫画など調査対象であるオタク分野全30分野全体における1人当たりの年間平均消費金額は44154円※のところ、アイドル分野ではなんと81085円という結果に。この数字は30分野の中で「PC組み立て/電子工作」に次ぐ2番目に高い金額であり、アイドル好きがいかに推し活に力を入れているかがうかがえる。 ※0円と回答した人を含む金額 (参考:「オタク」に関する消費者アンケート調査https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3382) さらに、すでに知名度があるクリエイターがアイドルをプロデュースするとなれば、注目度が高く、SNSでの拡散も期待できるという点も特筆すべき点だ。昨今は「アイドル戦国時代」といわれるように、一言でアイドルといってもメジャーデビューを果たしたアイドルからご当地アイドル、地下アイドルなど数知れず。こういった環境のなかで生き抜いていくためには、イチから知名度とSNSを育てるより、すでにある程度のパワーをもつ自身の名前を利用した方が効率的であることは想像に難くない。 アイドルプロデュースは、市場の大きさや自身が積み上げてきた知名度を最大に活かせる事業のひとつとして、YouTuberたちに需要があるのかもしれない。
せきぐちゆみ