革新的な決定!名古屋家裁が同性パートナーと同じ名字への変更を認める
愛知県内に住む30代の男性が、30代の同性パートナーと戸籍上同じ名字に変更することを求めた審判を名古屋家庭裁判所に申し立て、変更が認められました。こうした事例で名字の変更が認められたのは異例です。5月16日放送の『CBCラジオ #プラス!』、「ニュースにプラス」のコーナーでは、「名字の変更」について、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に伺いました。
「やむを得ない事情」の場合のみ
自分の希望で名字を変える手続きもありますが、そのハードルはかなり高く「やむを得ない事情がある場合」のみ。この場合は、裁判所の許可をもらって名字を変えることができます。 この「やむを得ない事情」とは、名字の変更をしないとその人の生活で著しい支障をきたす場合のこと。 戸籍のベースである名字を簡単に変えることができると、社会的な混乱をきたしてしまうため、変更はかなり難しくなっているそうです。 つまり「気に入らない」「姓名判断が悪い」という理由では、名字の変更は基本的には認められないということです。
「おおなら」さんに「大工」さん
個人の希望で名字の変更が認められるケースは、離婚後にこどもを旧姓に戻さず、結婚時の姓を名乗らせる「婚氏続称」。 また、離婚後に結婚時の名字を名乗りたかったものの、3か月以内という期間を過ぎてしまった場合。 そして、長年使用している「通称」に変えたい場合。 さらに「難しい」「変わっている」という場合なども。実際に「おなら」を連想する「おおなら」さん、特定の職業を連想させる「大工(だいく)」さんは、改名が認められました。 過去には、性的な虐待を受けていて、氏名を呼ばれることに対して耐え難い苦痛を覚えているという方が改名を認められた事例もあるといいます。
婚姻に準じる関係
現状、同性カップルの結婚は認められておらず、婚姻届けを出しても不受理となります。 ただ、同性婚に関しての裁判はかなり増えていて、今も争っている方はたくさんいるそうです。現時点では7件判決が出ていて、うち6件は「違憲」という判断を裁判所が下しています。 今回、同性パートナーが名字を変えることを裁判所が認めた背景には、この2人が「婚姻に準じる関係にある夫婦」と判断されたことがあります。 2人は長く同居し、里子の2人を育て、2人の名義で自宅を購入。 公正証書を作成し、法律上の結婚している場合と同様の内容を定めていて、裁判所が「子育てを中心とした安定した生活を継続している」「異性婚同士の夫婦と実質的に変わらない状態にある」ことを認めています。