革新的な決定!名古屋家裁が同性パートナーと同じ名字への変更を認める
名字が違うことによる不利益
「やむを得ない事情」と考えられるのは、例えばこどもが医療機関に行った場合。 名字が違うと、こどもとの関係性を証明することが難しく、医療手続きへの関与をさせてもらえない可能性があります。 また、保育園で名字の違いを尋ねられた時に「性的な嗜好」というかなりプライベートな情報を明らかにしなければならず、著しい支障が生じてしまいます。 性的嗜好が少数派に属する方は、さまざまな日常の場面で差別感情や偏見に基づく不利益な取り扱いを受ける可能性に置かれています。 異性婚であればあり得ないような、意味沿わないカミングアウトを強いられる状況自体が著しい支障になるということで、今回裁判所は変更を認めました。
今後の判断はいまだ不透明
事実婚も同じですが、「家族だけど名字が違う」というのは、その理由を説明させられる多くの場面に出くわすことになります。 もし誘拐であれば当然名字は違うため、やはりその関係性を疑われることは一定程度あり得ること。 家族の証明が難しいということで、差別や偏見を受けたり、意図しないカミングアウトをさせられたり、医療機関で生死に関わるような判断場面で関与ができないといった、さまざまな不利益に直面する可能性があるということです。 過去の事例を考えると、名字の変更を同性パートナーに対して認めるのは稀なこと。 しかし、今回この判断が出たことで、今後の申し立てに対して裁判所や裁判官への影響は考えられます。 ただこの裁判に拘束力があるわけではないので、これに反する判断が下ることも十分あり得ること。今後についてはまだ不透明な状況といえます。
夫婦別姓が認められない理由
一方で、「夫婦別姓」が認められないのは保守派の反対が大きいため。 「家族の一体感や家族の絆が薄まる」「親子間で名字が違うことがこどもに対して悪影響」「通称使用で良いのでは」という反対意見が根強くあるそうです。 裁判で争った方もいますが、2015年と2021年には「夫婦同姓は合憲」と判断され、国会が急いで別の制度を導入するという動きにはなりませんでした。 ただ、1月に経団連が「選択的夫婦別姓の導入」の声を上げるなど、社会的な要望の高まりがあるので、今後の改正に多少のスピード感が出る可能性はあると考えられるそうです。
国を動かすために大切なこと
国を動かすために一番大事なのは、我々の声。 正木弁護士によると、「自分に関係ない」と傍観者になるのが一番ダメなことだと言います。 「こういうことを認めるのがなぜ必要なのか」 「当事者がどう思っていて、何を困っていて、何が欲しいと言っているのか」 「もし認めた場合、自分たちにはどういう支障が出るのか」 差別感情を除いて、実質的な部分の議論を進めていくことがとても大切だということです。 (minto)