【お金のプロが解説】50歳代・二人以上世帯「負債と貯蓄」の現状、理想と現実のギャップを紐解く
50歳代「貯蓄現在高」は平均1705万円…年代別一覧表で推移をチェック
負債が少なかったとしても、しっかりと貯蓄できていなければ金融資産額はのびません。 先ほどと同じ資料をもとに、年齢階級別に50歳代世帯の「貯蓄額」も整理してみます。 ●50~59歳:貯蓄現在高の推移 ・2018年:1778万円 ・2019年:1704万円 ・2020年:1703万円 ・2021年:1846万円 ・2022年:1828万円 ・2023年:1705万円 2020年から2021年にかけては増額し、それ以外は減少していると見て取れる50歳代の貯蓄現在高。 収入がピークに差し掛かる年代でありながら、貯蓄しづらい背景にはバブル崩壊後の「失われた世代」ならではの事情があると考えられます。 苦しい時期を強いられて安定した職に就けなかった人々が50歳代となり、大きな出費への返済で手一杯な状況に陥っていることも一因といえるでしょう。 次の章では、そんな50歳代・二人以上世帯の貯蓄額別の割合を確認していきます。
【50歳代・二人以上世帯】27.4%が「貯蓄ゼロ」、平均貯蓄額と中央値は?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」から、50歳代・二人以上世帯の貯蓄事情をチェックしていきます。 ●【50歳代・二人以上世帯】貯蓄額別の世帯割合(金融資産非保有世帯含む) ・金融資産非保有:27.4% ・100万円未満:9.1% ・100~200万円未満:6.4% ・200~300万円未満:3.8% ・300~400万円未満:3.9% ・400~500万円未満:3.8% ・500~700万円未満:5.6% ・700~1000万円未満:5.5% ・1000~1500万円未満:8.9% ・1500~2000万円未満:4.2% ・2000~3000万円未満:5.4% ・3000万円以上:11.2% ●【50歳代・二人以上世帯】金融資産非保有(貯蓄ゼロ)割合 ・27.4% ●【50歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額と中央値 ・平均:1147万円 ・中央値:300万円 50歳代・二人以上世帯の金融資産非保有(貯蓄ゼロ)世帯は27.4%。 貯蓄100~200万円未満の6.4%と合わせて、約3割が貯蓄に乏しい状況といえそうです。 また、高い数値に引っ張られる傾向にある貯蓄額の平均は1147万円である一方で中央値は300万円と差があります。 同世代の間でも、経済格差は広がりつつあるのかもしれません。いずれ退職して受給する、年金収入だけでは心もとないと感じる人もいるのではないでしょうか。 次の章では参考として、60歳代が受給している年金の現状について確認していきましょう。