意図伝わらず「文章切り取りで炎上」なぜ起きるか 「誤答の並列化」を知ると、意図が理解できる
「Q3 この問いの答えはBか?」「A3 違う」 「A1 この問いの答えはCだ」 この文章は「なぜこの店は繁盛しているのか? その答えは、『味』だ」だけで成立します。それが伝えたいことであり、それ以外はなくても文章として十分成立するものです。 それなのになぜ、長々と「立地が悪い」「広告を打っているわけではない」と間違った回答を並列しているのか? それは、『味』といういちばん言いたい答えを強調するためです。
「なぜこの店は繁盛しているのか? その答えは、『味』だ」だけでは、味がどれくらいいいのか、わかりませんよね。「立地の悪さや広告を打っていないというマイナスをはねのけるくらい、味がいいんだ」ということを伝えたいわけですね。 このような「誤答の並列化」は、文章に厚みを持たせるときに有効な手段だと言えます。 ■有名漫画も「誤答の並列」のセリフがある 例えば、「ONE PIECE」という漫画のワンシーンで、こんな言葉があります。16巻のDr.ヒルルクという人物のセリフです。
人はいつ死ぬと思う…? 心臓を銃(ピストル)で撃ち抜かれた時……違う 不治の病に冒された時……違う 猛毒キノコのスープを飲んだ時……違う!! ! ……人に忘れられた時さ……!! ! 心に残るセリフですが、このセリフも、誤答の並列で書かれていますね。「人はいつ死ぬか」という問いがあり、あえて3パターンの誤答を並べたあとで、「人に忘れられた時」という、いちばん言いたいことを最後に持ってきています。 こうすることによって、「人に忘れられた時」という答えに、大きな重みを持たせているわけですね。
ただ「人は、人に忘れられた時に死ぬ」と伝えるだけではなく、「ピストルで打たれても、不治の病に冒されても、猛毒キノコのスープを飲んでも、本当の意味で『死ぬ』わけではない」というメッセージが前提にあるからこそ、強く相手に響くわけです。 政治家も含めて、相手に強く何かのメッセージを伝えたい人は、この手法を使うことが多くあります。 「今のみなさんの生活が苦しいのはなぜか? みなさん自身の問題なのか? 違いますよね。〇〇という政策の問題なのです!」というように、あえて誤答を挟むことで相手にメッセージを強く印象付けることができるわけです。