突如爆誕した「mixi2」、クラブハウスの“二の舞い”になる可能性は? 同じ招待制だが異なる知名度、肝はマネタイズの成否だ
また、闇バイトを意図したと思われる「詐欺、規制薬物の濫用、児童売買春、預貯金口座および携帯電話の違法な売買等の犯罪的行為、もしくは犯罪的行為に結びつく行為、または公序良俗に反する行為、もしくはその恐れのある行為」が明確に禁じられている点も、後発サービスだからこその時流に合わせた対策だ。 ■治安維持に向けた対策は若年層にフィットしている このように、招待制と踏み込んだ規約の合わせ技で、風紀を安定させようとしている工夫が見受けられる。また、投稿欄は「今なにしてる?」と一般的な呼びかけ文面ながら、返信欄が「やさしいことばで返信しよう」となっている点も、治安維持に向けた対策と言える。
ここまで書いてきて、もしかすると、mixi2は「SNSの可能性」を試す実験場として、採算度外視で運営されているのかもしれないと感じる。現在のMIXIは、「モンスターストライク」などのソーシャルゲームのほうが有名だが、先述のインタビュー取材では「祖業への愛情」が伝わってきた。 となると、もしかすると、収益を優先としない戦略なのかもしれない。ソシャゲやスポーツ事業の収益を元手に、CSRやメセナのような慈善事業としてmixi2を運営しているのではないか。
利益をはなから期待せず、業界のイメージアップや、それによる市場活性化をねらっている……などと書くと妄想が過ぎるかもしれないが、どこかに「SNSへの恩返し」が込められているような気がするのだ。 現状では「インターネット老人会の集会場」といったイメージが付いてしまっているが、ギスギスしない「やさしいことば」でのコミュニケーションは、むしろZ世代などの若年層にフィットしている。あらゆる年齢層が溶け合って、SNSの「新しい形」を形成していく実験場として、mixi2が発展することを期待している。
城戸 譲 :ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー