昌平、細田学園を圧倒!4発快勝で準決勝進出
令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)埼玉予選第4日は6月9日、準々決勝4試合が行われ6月12日の準決勝(NACK5スタジアム)は昌平vs浦和学院、正智深谷vs西武台の顔合わせとなった。 【フォトギャラリー】昌平 vs 細田学園 中断中のプレミアリーグEASTで暫定3位の昌平は、細田学園に4-0で快勝した。 試合開始とともにボールを握り、短いパスを基軸に複数の選手を経由する小気味の良い流れで攻め続けた。主将のMF大谷湊斗(3年)を中継所とし、左の長瑠喜と右の山口豪太(ともに2年)の両MFが外から仕掛けのタイミングをうかがった。上原悠都(3年)と安藤愛斗(2年)の両SBも効果的に攻め上がり、サイドアタックの起点としてフル稼働。 昌平は圧倒的なボール占有率を発揮して細田学園の守備網を混乱させ、前半3分に先取点を挙げた。 中央やや右から突破した三浦のパスを左サイドで預かった長が、中央へ折り返すと三浦が右足で上手に蹴り込んだ。13分の鄭志鍚(3年)の強シュートはGKに弾かれ、20分の三浦の一撃も左ポストをかすめたが、29分に大谷の縦パスから鄭が豪快に2点目を決めた。 後半に入っても昌平が相手陣営に攻勢をかける展開は変わらない。 3分、安藤の右クロスから山口が惜しいシュートを放つと、7分には三浦が自身2点目をゲット。大谷の左クロスをニアサイドの鄭がスルーし、三浦が出足の一歩でマークをかわして抜け目なく蹴り込んだ。 三浦は昨年12月27日に左足首の後ろにある三角骨を骨折し、ベスト8入りした第102回全国高校選手権を無念の辞退。今年4月7日にあった横浜FCユースとのプレミアリーグ開幕戦に後半25分から出場し、復帰を果たした。 「試合を重ねるごとに良くなり、今はベストの状態に戻りました。去年とは戦い方が少し変わったけど、すごくやりやすい。特に(大谷)湊斗と(本田)健晋(3年)が一緒に出ていると、後ろで流れをつくってくれるから動きやすい。準決勝もチームで協力し合って勝ちたい」 プレミアリーグで5ゴールを挙げ、得点ランク首位タイの長に次ぐ4点をマークする三浦。今大会は西武文理との初戦の3回戦でも1点を決め、玉田圭司新監督も「(相手にとって)何が危険なのかを察知できる賢い選手」と才能を認める。 15分には、大谷が山口の右クロスに体勢を崩しながらもヘッドでつなぎ、このボールを長が押し込んで4点目を奪取。駄目押し点とした。 細田学園は川口市立との初戦の2回戦、武南との3回戦とも0-0からのPK戦を制して8強進出。2戦無失点という堅陣だったが、この日は昌平の個人技と組織力に守りが崩壊し、19本のシュートを打たれた。前半はシュートがなく、後半も13分にMF桑颯馬(3年)の右足、14分にFW平井聖七(3年)のヘッド、35分にMF並木俊輔(3年)が直接狙ったFKの3本だけだった。 昨秋の全国高校選手権予選準々決勝では延長までもつれ込む激闘を演じ、指揮を執った村松明人コーチに「同点にされた時は正直終わるかと思った」と言わしめたが、今回は力の差が大きかった。 当時の1戦で先制ヘッドを決めている鄭は、「県予選の難しさは1年生の頃から経験しているので、どんな相手に対しても積極的に仕掛けてゴールを取らないといけない。3年生になって意識が変わりました」とエースFWの貫禄が出てきた。 西武文理戦では決勝点を含む2得点の活躍をした鄭は、「準決勝でも圧倒して勝てるよう立ち上がりから仕掛けていきます」と浦和学院戦へ意欲を示した。 昨春、昌平のスペシャルコーチに就き、今年3月に指揮官に就任した元日本代表の玉田監督。プレミアリーグは8試合を経験済みだが、タイトルの懸かった県内トーナメント戦は今大会が初めてとなる。 西武文理戦は前半8分にハンドの反則からPKを献上して先手を取られた。「少しも慌てることはなかったが、先制することがいかに大切かというきのうの試合が教訓になりました。対戦相手をリスペクトした上で、力の差を見せつけて隙を与えない内容を実行してくれた」と完勝に近い試合をやり遂げたイレブンを褒めた。 1年前は準決勝で浦和南にPK戦で屈したが、玉田監督は「実力の違いを発揮して勝つのは簡単なことではないが、うちにはそれを簡単にするだけの力がある。自分たちがどれだけやれるかを表現してほしい」と人材の宝庫と言われるタレント集団の可能性を信じていた。 (文・写真=河野正)