人材不足の日本と技術者の就業を望むアフリカ、スタートアップで協業へ
TOKYO MX(地上波9ch)の報道・情報生番組「堀潤 Live Junction」(毎週月~金曜18:00~)。「New global」のコーナーでは、日本とアフリカのビジネス、大きな可能性を秘めた協業について取り上げました。 ◆アフリカと日本の関係性において重要な「TICAD」、来年横浜で開催 来年2025年8月20~22日まで、神奈川県・横浜市にて「第9回TICAD首脳級会合(TICAD9)」が開催されます。「TICAD」とは“Tokyo International Conference on African Development”の略で、日本語にすると「アフリカ開発会議」です。これは日本が主導する形で行われるアフリカの開発をテーマにした国際会議で、1993年以降定期的に催されています。 キャスターの堀潤曰く、現在アフリカは非常に混沌としており、例えば、サヘル地域では武装勢力が台頭。そして、スーダンでは内乱が拡大。さらには権威主義国家が影響力を強めるなど、民主主義国家との関わり方が注視されています。 そうしたなか、この「TICAD」のテーマとなっているのが“日本とアフリカの緊密な協力の継続”です。とりわけ、アフリカのビジネス環境改善に向けた官民の連携推進。加えて、AI(人工知能)を含むデジタル技術の効果的かつ責任ある活用の必要性や、現地で活動するスタートアップ支援に向けた環境整備の重要性の共有などが謳われ、新たなビジネス、新たな産業に対する日本とアフリカのさらなる協力体制の構築が目的となっています。 ◆ウガンダの企業家がICT人材の活躍を希望 そんな「TICAD9」に先立ち、10月に東アフリカにあるウガンダのICT企業の経営者らが来日。日本の企業との協業を呼びかけました。 データ収集や分析などを専門とする人材と企業をつなぐ会社を経営するパール・ガカジさんは、「私たちは若者たちがプロフィールを作成するプラットフォームを開発しました。テクノロジーを活用し、若者が仕事を見つけることや世界中の企業がアフリカに足を運ぶことなくアフリカの人材を探すことができるようにしたい。将来的には、より協力的なパートナーシップを築き、みんなが日本語で“ありがとう”と言えるような世界で仕事をしていきたい」と日本企業とのパートナーシップを訴えます。 一方、ICT人材を育成する企業に勤めるアイバン・コレタさんは、優秀な人材がいても供給体制が整っていないウガンダの現状を吐露。「ウガンダにいる1万1,000人以上の開発者からなるコミュニティの代表をしています。私たちは産業が必要とするニーズに応えられるようトレーニングを行っていますが、(ウガンダだけでは)全員を就業させることがとても難しい。少なくとも70%の人材を国内・国際的な業界と協力し、仕事をできる機会を与えていきたい」と日本企業の協力を求めていました。 彼らの話を聞き、堀は「これは本当にチャンスだと思った」と感想を口にし、「アフリカ各国の技術者の技術力も上がってきた。しかし、産業化しているのは先進国だったりするので、(彼らはそこに)人材を投入したい。日本も人材不足に悩んでいるので、うまくマッチングがいけば」と期待を寄せます。 経済アナリストの馬渕磨理子さんは、日本でのアフリカ人材の登用だけでなく、日本側からの技術提供の重要性、例えば、通信などはアフリカの発展に大きく寄与するのではないかと指摘します。 ◆日本のスタートアップがアフリカで活躍中! 実際、日本のさまざまなスタートアップが既にアフリカに進出し、活躍しています。例えば、「ソラテクノロジー」は、蚊の繁殖水域(水たまりなど)をAI解析で検出し、マラリア感染対策の実施。「ウミトロン」は人工衛星・機械学習などで持続可能な水産養殖の開発を行い、「アルム」は医療従事者が情報共有できるアプリなどを提供し、公平な医療福祉を実現するなど、各社現地で大きな注目を集めています。 総じて、株式会社トーチリレー代表の神保拓也さんは「今まで日本はアフリカに対しお金を出してはいたが、この粒度、細かさで一緒にビジネスを作ることからやっていかないと本当の支援にはならないと思う」と語り、「これは日本側にも学びがあるような気がしていて、(日本とアフリカ)双方Win-Winになると思うので、もっと積極的に進めていけばいいと思う」と力を込めます。 タレントのふかわりょうさんも「これまでのお金のつながりではなく、技術や人と人とのつながり、マッチングを積極的にやるべき。アフリカは今後世界の中心になる可能性が大きいので、どんどん進めてほしい」と話していました。