『べらぼう』横浜流星、演じる蔦屋重三郎の人柄に触れ「一番は誰かのために動けるところ」「自分もやっぱり、そういう人間でありたい」
2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」(総合で日曜午後8時ほか)が5日からスタートする。主役の蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)を演じるのは数々の話題作に出演し、今を時めく若手俳優・横浜流星(28)。恐らく大半の人が抱くであろう「“蔦重”って誰?」という思いを受け止め、どのように魅力的に演じるのか…。まもなく始まる放送を前に、横浜がドラマにかける思いを語った。 「べらぼう」は、江戸時代の版元で浮世絵師の喜多川歌麿や東洲斎写楽を世に出したことで知られる“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜)が、親なし、金なし、画才なし…のないない尽くしの生まれから“江戸のメディア王”として成り上がっていく波瀾(はらん)万丈の人生を描く。脚本は17年の大河「おんな城主 直虎」の森下佳子さんが担当する。 これまで数々のドラマや映画で主役を演じてきた横浜だが、NHK作品は今回が初出演で初主演。オファーに関しては「(大河作品への参加は)もちろん目標の一つとしてはありましたが、それよりも『なぜ?』という気持ちが大きかった」と振り返った。 「多くの方がNHKの作品に携わって大河の主演になられることも多いと思うんです。僕はそれがなかったので、今でも疑問に思っています」と静かにほほ笑み、「でも選んでいただけたから、責任と覚悟を持って作品を届けたい」と宣言した。「作品と向き合ってみて感じているのは、いい意味で大河ドラマらしくない。新しい大河ドラマになっている。大河ファンの方はもちろんですが、そうじゃない方にも楽しんでいただければうれしいし、それが自分の使命なのかな」としみじみ。 続けて「プレッシャーに関しては“大河ドラマだから”というものはないです。どの作品も全て100%でやっています。じゃないと他の作品に失礼」ときっぱり。仕事に対してストイックな思いを吐露した。 演じる“蔦重”について「誰もが知る人物ではない。ただ彼は多くの功績を残し、江戸を豊かにし、今で言う出版社の社長であり、プロデュースも営業も全て自分で担う、本当に多才な人物」とたたえた。具体的な人物像について「情に厚かったり、責任感があったり、失敗してもへこたれないメンタルだったり、いろいろあると思うんですけど、一番は自分ではなく誰かのために動けるところ。吉原だったり、女郎だったり、絵師、そして世の中だったり…。自分もやっぱり、そういう人間でありたい」と語り、“蔦重”のエネルギッシュさや人間としての懐の深さに感服した。 大河で江戸時代中期を取り扱うのは今回が初めて。時代背景については「いい時代だと思う。不自由ではあるけれど、今のように情報が錯乱していないし、みんなそれぞれが自分を持っていて交流を大切にしている。ただ今の時代と、そう遠く離れてはいないから、この作品を見てくださる方にも近く感じられるような世界観になっている」とアピール。 今回、田沼意次役で出演する渡辺謙(65)は、87年「独眼竜政宗」、93年「炎立つ」で大河主演を務めた大先輩でもある。2人は今年公開の映画「国宝」で共演。一緒に食事をした際に渡辺から「流星と同じ年に(大河の主役を)俺もやった。とにかく真っすぐ全力でやればいい」と力強いエールを受けたと明かし、「その言葉を信じています。現場でも謙さんのたたずまいやお芝居から学ぶことは多い。あまり共演シーンはないですけど、その時間は大切にしています」。 この作品が横浜にとって忘れられないものになるのは間違いない。端正な容貌に頼ることなく、確かな演技力も評判の横浜が“蔦重”とともに駆けだしていく。改めて「1年間、作品と“蔦重”と向き合うことは挑戦。役者として、とてもぜいたくで幸せなことだと思うので、みなさんに愛される“蔦重”をつくっていけたら」と強いまなざしで誓った。 ◇横浜流星(よこはま・りゅうせい) 1996年9月16日生まれ、神奈川県出身。雑誌「ニコラ」のメンズモデルを経て、11年ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」で俳優デビュー。14年の特撮ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」でトッキュウ4号/ヒカリ役を演じ注目を集め、19年のドラマ「初めて恋をした日に読む話」で大ブレーク。その後も「流浪の月」「ヴィレッジ」「春に散る」といった映画やドラマ作品などで、俳優としての経験値を着実に積んでいる。特技は極真空手。身長は174センチ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 【第1回あらすじ】「ありがた山の寒がらす」 明和の大火から1年半、蔦屋重三郎(横浜)は、茶屋で働く傍ら貸本業を営んでいた。ある日、幼なじみの花魁(おいらん)・花の井(小芝風花)から、朝顔(愛希れいか)に届けものを託される。しかし蔦重が、浄念河岸の二文字屋を訪れると、ひどく衰弱した朝顔の姿があった…。吉原の場末である河岸見世の女郎たちのひどい惨状をみて、思い悩む蔦重。そんな中、吉原で付け火の事件が起き、騒然となる…。
中日スポーツ