【能登被災地へ祈りを込めた羽生結弦の演技】自らの3.11の経験生かし、金沢で優しさで包む舞
被災地へ恩返しがしたい
羽生さんはプロ転向後、2年続けて東日本大震災で被災した故郷・宮城で座長を務めるアイスショー「notte stellata」に出演する。今回のショーも、同じように被災した金沢への思いから実現した。 今年3月。演技会を主催するテレビ金沢の関係者によれば、羽生さんサイドから「能登のために何かできることはありませんか」という声が届いて実現した。羽生さんはこの日、報道陣の囲み取材にこんなことを口にした。 「僕自身、(五輪で)金メダルを2個取りたいという気持ちの中の1つの大きな目的として、2連覇したところから被災地への支援や思いやりみたいなものをスタートしたいなという気持ちがあって、常に現役、競技を頑張ってきました。やっと自分がプロに転向して、徐々に、徐々に、被災地に心をはせることができるようになってきました。 そういった中でも、自分はやはり、スケーターであるということが1番なので、演技を通じて、(被災地の)皆さんに対する支援や、感情に対する少しの一助になれないかなと思っています。『3・11』もそうですし、その時々で起こっているいろんな災害に対してもそうです。今回は、能登地方の震災に対してのチャリティーということでやらせていただきました」
自ら東日本大震災で被災し、一時はスケートどころではなくなった。 それでも、大好きなスケートと向き合うことで、唯一無二の絶対王者と称されるキャリアを積み上げてきた。孤高の王者は競技者時代、自らを高めるために努力を重ねていたが、その先には、いつの日か、幼少期からの目標だった五輪2連覇の金メダルと、その実績で高めた知名度を生かし、被災地などで困難に直面し、そこから立ち上がろうとしている人へ、スケートを通じて元気と踏み出す勇気を届ける恩返しをしたいという思いが隠されていたのだった。 自らが祈りを込めて滑るだけではない。6月には被災した石川・輪島市にも自らの足を運んだ。