1998年サイゴン、望まぬ性に生まれた歌手と懸命に生きるボクサーが夜の世界に飲まれてゆく「その花は夜に咲く」3月21日公開
「第三夫人と髪飾り」のアッシュ・メイフェア監督作品「その花は夜に咲く」が3月21日から公開される。場面写真、ポスタービジュアルが公開された。 【フォトギャラリー】「その花は夜に咲く」場面写真 デビュー作「第三夫人と髪飾り」が世界の映画祭で数々の賞を受賞し、スパイク・リー、トラン・アン・ユンがその才能を絶賛するメイフェア監督の最新作。1998年のサイゴンで、望まぬ性に生まれたサン、ボクサーのナム、若い二人が困難に立ち向かう愛の物語。 経済解放間もない、昔ながらの活気と風情が息づく1998年のサイゴン。その都会の片隅に貧しくもつつましく、愛し合いながら生きる二人、サンとナム。サンは望まぬ性に生まれながらも、夜の世界で歌手として、ナムはボクサーとして懸命に暮らしていた。だが、若さゆえ、二人は容赦ない夜の世界に飲まれてゆく。嫉妬や裏切り、焦りや不安ーー少しずつずれていく二人の距離。運命の歯車が狂いはじめる。 監督自らのベトナムで過ごした中学時代の記憶から物語は構想され、主人公サンのキャラクターはトランスジェンダーの友人をモデルにしている。メイフェア監督は「近年、ベトナムではレズビアンやゲイのコミュニティに対して受け入れが増えてきていますが、今もなお、トランスジェンダーコミュニティはまだ政府や社会から厳しい差別を受けています。このテーマの重要性だけでなく、若い少女サンが私たちのためにカメラの前で夢を追いかける姿から、私はこの映画を作りました」とコメントしている。 そんな監督の思いから、サン役には自らもトランスジェンダーであるチャン・グァンを抜擢。本作でスクリーン・デビュー果たし、ミス・インターナショナル・クイーン2023ベトナム大会でトップ10に選ばれ、ベストフェイス賞を受賞。ナム役は、数々の映画やドラマに出演し、ベトナム映画界で今最も期待される俳優の一人となるヴォー・ディエン・ザー・フイ。ボクサーという激しさと優しさの両面を持ち合わせた繊細な役柄を好演している。 公開されたポスタービジュアルでは、体を重ね合うサンとナムの爽やかなエロスを感じさせる姿と共に「愛し合う二人にこの街は残酷」という印象的なキャッチコピーが置かれ、二人に待ち受けるドラマチックな物語を暗示させるデザインとなっている。 3月21日からシネマート新宿ほか全国順次公開。