アメリカ軍と親イラン勢力の「応酬」 その複雑な「背景」
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が2月7日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。親イラン勢力の反撃とみられるシリア最大の米軍基地へのドローン攻撃について解説した。
米軍基地に無人機攻撃、親イラン勢力の反撃か
シリア最大の米軍基地でドローンによる攻撃があり、アメリカが支援するクルド人勢力の隊員が少なくとも6人殺害されたと明らかにした。2月2日の米軍の報復以降、駐留基地が攻撃されたのは初めて。ヨルダンでアメリカ兵3人が死亡した無人機攻撃を実行したとみられる親イラン武装勢力の連合体「イラクのイスラム抵抗運動」が犯行声明を出している。 新行)今回の親イラン勢力による「報復の報復」について、どうご覧になっていますか? 黒井)10月7日に行われたハマスの攻撃以降、この地域では、イラク人の民兵がアメリカ人の基地を攻撃するというようなキャンペーンを始めています。それに対して報復があり、さらにその報復と、お互いに攻撃が続いている。アメリカとしては引きずり込まれたような状況です。 新行)今回、攻撃されたシリア最大の米軍基地は、そもそも何の目的でつくられたのでしょうか? 黒井)そのエリアは以前、イスラム過激勢力であるISが猛威を振るった場所です。そのエリアにいるクルド人武装勢力を中心にした民兵組織などがISを倒したのですが、それを支援したのがアメリカ軍なのです。イラク北部などにも(基地が)あります。アメリカ軍が彼らを支援した関係もあって、そこに駐留し、アメリカ軍が使える拠点として残した場所の1つになります。
親イラン勢力とイランの関係
ジャーナリスト・佐々木俊尚)最近フーシ派やハマス、ヒズボラ、イラクのイスラム抵抗運動など、「抵抗の枢軸」と言われるような親イラン勢力が増えている気がします。イランがそれらを支援しているのには、どんな背景があるのですか? 黒井)「イラン革命防衛隊」という軍隊のなかに、「コッズ部隊」という工作機関があります。ホメイニさんの時代から、彼らの言う「イスラム革命の輸出」を担ってきた組織です。そのため、この動きは急に始まったわけではありません。レバノンにはヒズボラという大きな組織がありますが、イランが自分たちの手駒になるような組織……イラク、シリア、さらにイエメンの内戦から出てきたシーア派系のフーシ派などを支援したという流れですね。