アメリカ軍と親イラン勢力の「応酬」 その複雑な「背景」
イランがいろいろな手駒を使ってアメリカやイスラエルに攻撃を仕掛けている
佐々木)イスラム教内でもスンニ派とシーア派は当然、対立するわけです。イランのシーア派と、その他アラブのスンニ派の対立、またアメリカとの三つ巴の関係はどういう形なのですか? 黒井)イランはシーア派なので、シーア派をメインにそういった部下をつくります。加えてハマスはスンニ派ですが、スンニ派のなかでも自分たちと組めるところは手を広げるわけです。それに対して、アメリカだけではないですが、やはり反対する勢力もいて、スンニ派のグループもいます。もともとアメリカはイランと敵対していますので、組めるところと組んでいくような流れになります。 佐々木)ややこしいですよね。
アメリカと戦争する気はないイラン
黒井)基本的に、震源地はイランなのです。イランが自分たちの影響圏をつくるために、いろいろな工作を国の外で行う。ただ、イランが直接出て行くとアメリカやイスラエルとの戦争になってしまいますので、直接ではなく、手駒をつくってやらせているのです。 佐々木)イランは正面切ってアメリカと戦闘状態に入るつもりはないのですよね? 黒井)そうです。イランも長年、イスラム革命政権が残っていますので、自分たちの周りを含めてある意味サバイバルをしてきたのですが、リスクを回避するというような独特の戦略ですね。 新行)ただ、これはイランが直接コントロールしているわけではないのですよね? 黒井)いや、イランの工作機関がほとんどコントロールしています。組織をつくるところから、武装して軍隊をつくるところまで全部、コッズ部隊が指導します。ある意味、コッズ部隊は参謀本部のような役割です。
イランのテロを増やさないためにもイランの報復には対応せざるを得ないアメリカ
新行)アメリカはさらなる報復を強調しており、サリバン大統領補佐官も「さらなる措置を行う」と述べています。今後はどうなるのでしょうか? 黒井)イランとアメリカは直接戦闘せず、イスラエルとイランも直接戦闘しないという、ギリギリのところでお互いに報復し合うと思います。ただ、アメリカはやりたくてやっているわけではないのですが、これを放置すると再びイランの工作によってテロが増えるので、ある程度、報復に対して対応しないといけない状況に追い込まれているのです。