ヒズボラがテルアビブ狙い弾道ミサイル発射、イスラエルは撃墜と発表
(ブルームバーグ): レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラがイスラエルのテルアビブに向けミサイルを発射したが、イスラエル軍が迎撃した。およそ20年に及ぶ両者の対立において、最も激しい攻撃の応酬が続いている。
イスラエル軍によると、ヒズボラが発射した1発目のミサイルが同国中央部を越えたため、25日早朝にテルアビブでは空襲警報システムが発動された。ヒズボラは、テルアビブ郊外にあるイスラエルの対外情報機関モサド本部を狙い弾道ミサイルを発射したと発表した。
レバノン政府当局者によると、23、24日にイスラエルが行ったレバノン南部と北東部ベカー高原への大規模空爆により、子供50人を含む約560人が死亡、1800人以上が負傷した。
イスラエル軍がレバノンのヒズボラ拠点空爆、500人近く死亡
イスラエル軍は、同国北部に向けヒズボラが24日発射したロケット弾は約300発に及ぶと説明。同国最大の電力供給会社、イスラエル電力公社は、「戦略的」施設が標的とされたが、被害はなかったと発表した。標的とされた施設の所在地は明らかにしていない。
米国、欧州、アラブ諸国政府は、事態を沈静化させ、イスラエルのレバノンへの地上侵攻を阻止しようとしている。地上侵攻となれば、米国とイランを巻き込む中東地域全体の戦争に発展する恐れもある。
国連のグテレス事務総長は24日、ニューヨークで開催された国連総会で、レバノンが「瀬戸際に立たされている」と述べ、「レバノン市民、イスラエル市民、そして世界中の人々は、レバノンがパレスチナ自治区ガザの二の舞になることを許してはならない」と訴えた。
イスラエルのネタニヤフ首相と軍幹部は、空爆のみでヒズボラを追い詰めることは可能で、イスラエルとレバノン双方に甚大な人的・経済的犠牲を強いるとみられるレバノン南部への地上侵攻は回避できると考えているもようだ。
ただ、イスラエル政府高官は、必要と判断すれば地上侵攻の用意があるとしている。