1-3月期の実質GDPはマイナス転換へ、一時的な自動車減産が主因
(ブルームバーグ): 日本経済は1-3月期に再びマイナス成長となったと大半のエコノミストがみている。認証不正問題に伴う一部自動車メーカーの一時的な大幅減産が、個人消費や設備投資、輸出に幅広く影響したとの見方が出ている。
内閣府が16日発表する同期の実質国内総生産(GDP)速報値は、ブルームバーグの集計でエコノミスト35人中32人がマイナス成長を予想する。中央値は前期比0.3%減、年率では1.2%減。個人消費が0.2%減と4四半期連続で減少するほか、設備投資は0.5%減、輸出から輸入を差し引いた外需寄与度もマイナス0.3%といずれも2期ぶりのマイナスが見込まれている。
ダイハツ工業や豊田自動織機の生産・出荷停止は、自動車販売台数の落ち込みによる個人消費の減少、輸送機器関連投資の減少に伴う設備投資の下押し、自動車輸出の落ち込みなど、幅広い需要項目に悪影響を及ぼしたとみられている。もっとも、4月中に自動車生産が正常化したことで影響は一時的なものにとどまり、4-6月期にはGDPの持ち直しに寄与する見通しだ。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長はリポートで、1-3月期は年率1.6%のマイナス成長になったとし、「自動車不正問題の悪影響は民間消費、設備投資、 輸出と広範囲に及んだ」と指摘。4-6月期は春闘を受けた名目賃金の伸びや所得・住民減税による可処分所得の押し上げ効果、高水準の企業収益を背景に、民間消費や設備投資が増加に転じるとし、年率1%台後半のプラス成長を予想している。
ブルームバーグの集計では、エコノミストは4-6月期に年率1.6%のプラス成長を予想している。ただ、足元の円安進行を受けて物価高が再燃した場合は、個人消費の下押し圧力となることも懸念されている。
3期連続マイナスも
日本の実質GDPは昨年7-9月期に年率3.2%減と4期ぶりのマイナス成長となったが、10-12月期にはプラスに転じ、2期連続で経済が縮小するテクニカル・リセッション(景気後退)入りを免れた。内閣府の4月の月例経済報告では、「景気はこのところ足踏みも見られるが、緩やかに回復している」との基調判断を据え置いた。