東京五輪に向けてJリーグの考えていること
大会方式を変えるだけでは日本のサッカーは変わりません
――残された問題は、コアなサポーターたちに対するJリーグとしての説明責任だと思います。スタジアムで反対の横断幕を掲げたサポーターたちに話を聞くと、2ステージ制そのものではなく、議論や決定に至るまでの過程に対して憤っているケースがほとんどでした。 「私たちのもとにも、『一緒に考えたかった』という声は届いています。Jリーグがそこまで危ない状況にあるというのは、普通にスタジアムへ足を運んでいるだけでは確かに分からないことだと思います。Jリーグは公益社団法人として、透明にしなければいけない部分に対する義務は果たしてきました。しかし、これだけ公共性が高く、大勢のサポーターやファンの方々に支えられているわけですから、みなさんと一緒に考えていくための情報公開をどのように推し進めていくべきかという点は、私たちが真剣に考えるべき宿題として提示されたと思っています」 ――同じことは、日本プロサッカー選手会(JPFA)に対しても言えるのでは。一部では、JPFAへの説明は10月7日の労使協議会が初めてだったと報道されています。 「6月の段階ですでにJPFAの幹部には状況と議論の中身を伝えてありましたし、先の労使協議会では詳しいデータなどを示しながら説明したことで、危機感を共有できたとは思っています。ただ、大会方式を変えるだけでは日本のサッカーは変わりません。選手のみなさんにはピッチの上で常に100%のパフォーマンスを出して欲しいし、Jリーグへの関心がここまで落ちている以上は、選手、監督、クラブ、そしてJリーグ全体でメディアに対する考え方を変えていく必要がある。ピンチはチャンスというわけじゃないですけれども、私たちとしてはそのようにとらえています」 (文責・藤江直人/論スポ、アスリートジャーナル)