東京五輪に向けてJリーグの考えていること
ベストの方法を日本サッカー協会と模索していきたい
――具体的には、どのような関係でしょうか。 「ドイツサッカー界の中でブンデスリーガは何を担う、ということが契約の中できちんと謳われています。国内のトップリーグとして、国民のためになる、エンターテイメントとしてのプロサッカーを毎週展開することはもちろんですが、将来は代表選手として活躍するエリートの育成は各クラブが担うと明文化されているんです。ゆえに代表戦における収入やW杯でのパフォーマンスボーナスの50%以上が、ブンデスリーガを通じて各クラブに分配されています。A代表だけでなく、U‐20やU‐17といった育成年代の代表選手を輩出したクラブにも、かなりの金額が配分される仕組みになっています」 ――日本サッカー協会でも代表戦の収入は莫大です。その一部でもJリーグに入ってくれば。 「U‐17代表がUEAで開催されるW杯に出場していますけど、代表選手のほとんどがJクラブのアカデミー所属です。将来のあるタレントを預かっているのはJクラブであり、よりいい試合環境を作り、さらに選手を伸ばしていくというミッションを日本サッカー協会から委託されていると考えれば。苦しいからお金を頂戴という論理ではないのです」 ――日本サッカー協会とJリーグはよく車の両輪に例えられました。いまは片側の車輪だけが勢いよく回転している状態ですよね。 「1993年ごろはJリーグの車輪がフル回転して、入場料収入の3%を日本サッカー協会に収めていたわけですからね。かなりの額が入ったと思いますし、そのお金を使って日本代表がW杯に出場するための投資ができるようになったわけですからね。いまは2%にまけてもらっていますけど(笑)」 ――ドイツと比べて、お金の流れが逆というわけですね。 「ドイツではクラブから地方協会に、入場料収入の3%が入ります。つまり、地方協会はブンデスリーガの試合にお客さんが入るほど収入が上がるんですね。だから大勢の子どもたちが見にこられるようにするし、安全面なども考えて試合の日程にも配慮する。これらをそのまま日本に導入するのではなく、ドイツにおける様々な協力関係を参考にしながら、日本ではどのような形がいいかを考えたい。日本はクラブだけでなく高校も選手を育てているので、ベストの方法を日本サッカー協会と模索していきたい」