東京五輪に向けてJリーグの考えていること
ジャパンオリジナルとして発展を遂げていく可能性もある
一連の改革を推し進めてきたキーマン的存在であるJリーグの中西大介競技・事業統括本部長へのインタビューの後編では、2015年からの2ステージ制導入をきっかけとして、Jリーグが描くさらなる成長戦略について真意を聞いた。 ――Jリーグはすでに、ヨーロッパに合わせた秋開幕、春閉幕のシーズンに「然るべき時期に移行する」と決定しています。 「最近のAFCの会議などでは、西側がACLの開催時期を秋開幕、5月決勝に変えろと声高に叫んでいます。西側の発言力は収まるどころか、東側に比べてどんどん大きくなっている。私の肌感覚では、ACLの開催時期はいずれ変わると見ています。そうなった場合には、現状のJリーグのカレンダーは完全に破綻をきたします」 ――いざJリーグの開幕時期を変えるとなった場合、第1ステージを第2ステージの後に持ってくればスムーズに移行できますよね。 「そういうシミュレーションもできています。2ステージ制のほうがスムーズにいくというよりは、2ステージ制での盛り上がりというものは上手く作れるのではないかと思っていますし、Jリーグが再び成長の軌道に乗ったときに1ステージ制に戻すのか、上手くはまっている2ステージ制を継続するのかという議論はまだ先だと思っていますけど、そのときはシーズン移行にいつ踏み込むのか、といった点ともリンクしてくると思っています。大会方式とシーズン移行の2つを、切り離して考えることはできないので」 ――1ステージ制に戻すうんぬんに関してですが、これだけの覚悟を持って改革に取り組む以上は、何年後に戻すといったイメージが先行するのは好ましくないのでは。 「繰り返しますけど、いまの時点ではホーム&アウェー方式の全34節でチャンピオンを決める戦いがベストだと思っています。それでも、あえて手をつける。そうであれば、上手く成長の軌道に乗ったときに戻すというやり方もあるのではないか、と考えるのは当然だと思うんです。一連の議論の中ではヨーロッパの5大リーグ以外の国々の大会方式を調べましたし、それぞれの国の事情で様々な工夫がなされていることも分かりました。最終的にはどれも参考にすることなく決めた今回の方式が、いわゆるジャパンオリジナルとして発展を遂げていく可能性もある。私たちが言いたいのは、そうした成り行きを見ながら、然るべきタイミングでしっかりと検証して、判断すべきだということです」