白亜紀からのタイム・カプセル 琥珀の中に閉じこめられた恐竜の羽の発見
地球は46億年前に誕生したといわれています。そして生命は約40億年前に生まれ、わたしたちホモ・サピエンスの種が初めて現れたのは、およそ20万年前。地球の長い歴史を1年に置き換えた場合、人類は12月31日午後11時半過ぎにようやく出現したと例えられるほど、わたしたち人間の歩みは実は、とても短いものです。 人類出現まで、地球はどのように環境を変え、生き物はどのように進化してきたのか―。古生物学者の池尻武仁博士(米国アラバマ自然史博物館客員研究員・アラバマ大地質科学部講師)が、世界の最新化石研究について報告します。 ----------
その日私は中国を旅行していた。移動日だったので一日中車の中に揺られ、辺りがすっかり暗くなった頃ようやくホテルに到着した。夕食をすませメールをチェックしていると、2、3の友人(大学の同僚など)から化石発見に関する同じニュースの記事を受け取った。化石研究者同士でこうしたニュースや、新しく発表された研究論文の情報などの交換は、日常よく行う。しかしその日、古生物学者だけでなく地質化学学者や博物館のスタッフなど(化石研究者以外の者)がメールしてきたのは割と珍しい。年に数回あるかどうか。 「琥珀の中に埋もれていた白亜紀の恐竜化石の発見」12月9日付けの各ニュースに現れたテロップの数々。すでに目にした方も多いかもしれない。アメリカ版のCNNでも取り扱われていたが、恐竜研究の出来事がわざわざ一般のニュースに混じって報道されることは、それほど多いわけではない。 CNN等のニュースサイトはこちら。 中国のLida Xing博士とカナダのRyan C. McKellar博士等が中心になって発表された今回の研究論文によると、こぶし程度の大きさの白亜紀中期の琥珀(注:木の樹液が固まって形成された物質)の中に、何と恐竜の羽が一つ直接閉じ込められていた状態で見つかったたそうだ。