天草の新ごみ処理施設「白紙」に 老朽化する現施設、更新・改修の負担重く【連載 灰の行方㊤】
企業グループは昨年5月に落札し、8月に契約を締結。契約額は368億5千万円だが、設計業務の段階で、今のところ広域連合の支出はない。ただ、新施設の稼働がずれ込むことで現施設の補修費がかさみ、新施設も資材費の高騰で事業費が膨れ上がる懸念がある。 天草広域連合環境衛生課の早見博之課長は「設備の更新で何とか対応しているが、不慮の事故で焼却炉が稼働できなくなれば市民生活にもかかわる。新施設を早急に稼働できるよう努めたい」と話した。 天草の住民グループは新施設の入札や契約内容に違法の疑いがあるとして、契約解除などを求めて住民監査請求。連合監査委員は請求を棄却したが、企業グループの虚偽報告など不当な事実が確認されたとして「解除すべきだ」とする「意見」を公表した。 請求人代表の男性(64)=天草市=は「入札段階からさまざまな問題があり、その都度検証していれば、もっと早く引き返せたはず。馬場昭治連合長(天草市長)や連合職員の責任は重い」と指摘した。(鬼束実里、福井一基)
天草地域のごみ処理施設 天草市営は牛深クリーンセンター(天草市魚貫町・処理能力1日36トン)、御所浦クリーンセンター(同市御所浦町・同10トン)、西天草クリーンセンター(同市天草町・同17トン)の3カ所。天草広域連合運営は本渡地区清掃センター(同市楠浦町・同93トン)、松島地区清掃センター(上天草市松島町・同34トン)の2カ所。